27MHzにおける電波伝搬

27MHzの電波伝搬はアンテナから放射された電波がどこにも反射されず受信点に届くという直接波による通信が主になります。

 

直接波での交信可能距離は、

1)送信点のアンテナの利得と 2)送信電力、3)受信点のアンテナの利得と高さ  4)受信機の受信感度により算出が可能で、

送信電力10W 送信点10m受信点10mで、送信アンテナをGP-V2(ゲイン2.15db)で計算すると、大体120kmくらいで受信電界がodBμvを下回り受信できなくなると計算することができます。

ところが、27MHzの電波はHFでも高い周波数の部類の周波数であり、障害物があれば反射しますし、 建物などを回りこみその裏側まで伝わる 回折通信 などの交信も可能です。

このあたりの不定要素が盛り込まれているのが、27MHz無線のおもしろさでもあるわけです。

HFとVHFの中間に位置する27MHZでは、HFの遠距離通信というメリットや、VHF帯の近距離通信というデメリットの両方を利用できる、面白い周波数といえるでしょう。


 

Eスポ

毎年初夏の時期から初秋までのあいだ27MHzをワッチしていると、所々の周波数で、ピーポというような音や、ゆっくりしたCW(アルファベットをうち続ける)音が聞こえてくるのをご存じでしょうか?これらは海上ブイというもので、ほとんどが、本州から1000km近く離れた海上に設置されています。出力は1w程度と微弱なものですが、Eスポが発生すると、日本全国でよく受信することができます。

Eスポは正しくはスポラディックE層という名前であり、”突発的なE層”という意味があります。地球表面には電波を反射する層で取り巻かれており、地上からD層 E層 F層というように名前がついています。

このE層は、通常は数MHZという低い周波数しか反射しないのですが、厚く(濃く)発生するとより高い周波数も反射するようになります。

夏場になると1ch−3chのテレビに

「ただいま気象条件によりテレビが云々」というテロップが流れることがありますがこれはまさに厚い(濃い)E層が発生していることを表します。

実際は27MHzを反射するには、薄い層でも十分であり、春先から初冬までいつ発生してもおかしくありません。

アンテナから発射された電波は同心球状に電波が発射されます。このときアンテナから上方向への指向性を打ち上げ角度といいます。

電離層に強く届かそうとして、打ち上げ角度を高くしてしまうと、電波は電離層を突き抜けてしいますので、適当な打ち上げ角度を維持するというのが必要です。入射角度は約20゜から30くらいが一般的に発射しやすいようで、仮に東京から発射した電波は東京から500kmくらい離れた仙台あたりの上空で反射して、北海道と交信ができることになります。

当然、電離層が厚くなれば、もっと急角度でも反射しますので、近距離と交信が可能になりますし、より低い位置でEスポが発生すれば、近距離交信が可能になります

スポラディックE層とF層の間を何回も反射する”電離層間反射”をすると1000kの次は1500kmあたりの落ちることもあります。日本では1500km先でも海ですが・・・


 

27MHzどこまで飛ぶか?

27MHzの電波ははいったいどこまで飛ぶのでしょうか? 直接波の計算では120k前後が限界だといいましたが。その他大地反射やEスポを利用するとおもいがけない遠方と交信をすることができます。

通常Eスポによる伝搬は、約1000km前後になる場合が多いようですが、電離層で反射して、地球上に戻った電波が海上などのなだらかな場所であったらどうでしょう。海上に再反射して、もう一度1000km先のE層に当たります。そして、その反射した場所にEスポがあった場合、なんと、2000kmの遠方と交信ができる可能性があるのです。ただし日本から3000km先は海の場合が多いですが・・・

 

このように27MHzの電波は、おもいもかけない遠方に届いてしまうことが考えられますので、日本国内だけではなく海外の電波利用状況について考えておかなければなりません。

たとえばCBバンドにおける9CHは、非常呼び出し周波数として保護されています。

FCCによる管理は、アメリカ本土のみではなく、いわゆる英語圏全般がほぼ似た法律によって管理されており、9chに妨害になるような電波を出そうものなら、国際問題になりかねないのです。

 ヨーロッパ地域でもFCCと同じで40chAM/SSBの無線が認可されていますが、こちらが19chが防護周波数となっています。ヨーロッパにおける。19ch規制は非常に厳しく、非常通信以外では電波を出してはならならず、妨害は検挙されると懲役を含む罰金刑が確定するようです。

通常こういう規制は有名無実になってしまうですが、19ch規制地域は罪も重く、かなりうまく運用されています。19chでオンエアされる方々ご注意ください。


 

漁業無線への干渉

日本の27MHZの電波は、主に漁業無線用として割り当てられています。26.965MHZー27.405MHZでは、主たる使用者を無視したAM運用が行われているため、ほとんどの漁業無線は、衛星電話や携帯電話、もしくはアマチュア無線を利用しているようです。ただ使ってないからといって勝手に使っていいものではないです。

日本で認可になる漁業無線は、おおむね9KHzステップで割り当てが行われています。またSSB利用では、500Hzステップで割り当てられるので非常に中途半端な周波数が割り当てになります。たとえば27.300MHzに近い周波数では

27.298.5MHzと27.302.5MHzに正規局の割り当てがあります。27.300MHZでオンエアすれば、当然、その漁業無線に妨害を与えます。正規免許人も同じ日本人であれば、話しの内容もわかりますし 正規にお金を支払って開局したにもかかわらず不法局の通信を聞かされたなら不快感を持つのは間違いありません。

できることなら、その無線局と交信をこころみてほしいとおもいます。相手も友好的に話しをしてくれれば、お互いどのように無線を使っているのかが、把握することができ、そこに譲り合いが生まれます。たとえば運用中に妨害になっているということがわかった時点でしばらく傍受するなどして、相手を確認しましょう。

実際はこういう背景を知らずに「ここはオレ立ちのチャンネルだ」とばかりにクラブ名の連呼をしたりする場合が多いようですが、相手の立ち場にたって考えてみてください。

漁業無線は、高額な開局費用を支払い、正規に免許を取得した無線局です。この無線局に対して妨害が発生した場合、正規の手続きを得て検挙されるのはあなたです。


 

本当に外国に電波が飛んでいるの?

「オレ20年無線やっているけどアメリカの交信なんか聞いたことないよ」

「27MHZの電波が外国に飛ぶなんで信じられない」

こういう人もいるとおもいます。実際、アメリカなどの電波が始終受信できるわけではないし、それなりのタイミングが必要になります。

アメリカ本土では、26.965MHzー27.405MHzまではAM無線局でいっぱいになっている上 州によっては、使用方法が異なりAM/SSBの利用方法が厳格に決められていることが多いようです。

当然、それだけ多い利用者から逃れるためにいわゆる間chやや27.855MHz以上逃げている局も多いです。このあたりを丹念にワッチすると、SSBはもちろん、AMでも交信を聞くことができます。


 

27MHzから29MHzに出る謎のFM電波

11mから10mまでを利用している局ならば、ここに出てくる無線局を知っているでしょう。めちゃめちゃ迷惑な局ですね。実はこのFM局局の生い立ちは今から約20年前にさかのぼります。

 当時ユニコムという会社がUX-502という無線機を作っていました。当時無線ブームもあり、それなりの台数の販売を期待したのですが、10mFMなどは局数も限られていました。そこで、UX-502をなんとか裁こうとして、とある販売店に持ち込みバッタ値段で売り払ってしまったのです。

輸出国はアジア圏であることが判明しています 当時から日本製無線機は高価ではあるが、高性能であるというイメージがついており、漁業局に大量採用されてしまったのです。

 その結果28.020-28.820までの20khZステップにFM局が一斉にオンエアする結果になったのです。夏場になる10mのアマチュアバンドが海外FM局に占有される野は、日本でもかなり問題になりました。それまで、安価な通信方法がなかった国に、日本製の安価で、高性能な無線機は、あという間に広がり、チャンネルが不足していきます。

どっかの国に似ていますね、この発展過程。

チャンネルがいっぱいになればいわゆる地下チャンネル化したもの27.620-28.00MHzや、いわゆるお2階や3階などの無線機の参入。またアマチュア無線機の転用なども行われ、27.500MHzZあたりかから30MHzの上のほうまでを占有して交信を行うようになってしまったわけです。

台湾の魚場はなんと、日本から1000km そうです。日本全国で聞こえる位置で使われてしまったのです。この電波は日本海の上部にEスポができると日本に飛んでくるのです。

そしてもう1つ、このFMの運用者達、話しかけても返事をしてくれません。よく聞いていると複数のコトバが使われています。つまり日本のAMCBerのように他人を排除する運用が続けられています。ひょっとだけ心を広く持ってくれればいいのですがねえ。


 

謎のスキャンノイズ

27.000MHzから27.010MHZをスイープする不思議なノイズがあるのをご存じですか? まず27.000MHzでふっと現れてゆっくりと27.010MHZまで移動をして、ふっと消えてしまうというものです。最初は誰かのイタズラかと思ったのですが、どうもロシアの軍事装置ではないか? という話しが濃厚です。

その昔のウッドペッカーノイズ(ミサイルレーダ)という迷惑な電波がありましたが、その電波の到達方向はかならずロシア方向だったのですが、今回のスキャンノイズもそれとまったく同じ方向からやってきます。

 

2つめに、ロケット打ち上げ研究のために電離層研究がさかんになっているという情報です。某情報スジから聞いたところによると、天文台から真上(電離層に向けて)27MHZの電波を出して、その反射を利用して電離層観測を行っているようです。

これが360度方向に放射されるときに、同一周波数だと混信してしまうために放射角度により周波数を変化させ10KHz/゜としているよういです。つまり発射時間とEスポが重なったときにスキャンノイズになるようです。なにも27MHZでやんなくてもいいと思いますけどね。


 

27.300MHzの音楽放送

27.300MHz聞いていると遠くのほうで音楽が聞こえていることがないでしょうか?それもモゾモゾ聞こえる感じです。そんな時は 27.300のちょうど半分の周波数である13.650MHzを聞いてみてください。なにをしゃべっているかわからないですが、モゾモゾ同じ感じで聞こえてこないでしょうか?そう、この放送はピョンヤン放送の周波数です。本来の送信周波数である13.65MHzなどは聞こえるかどうかギリギリの強さしか来ないのに、2倍の高調波がなぜこんなに強くなるのは、送信装置の不備はもちろんでしょうが、Eスポのイタズラもありそうですね。この音楽放送が聞こえる時は、日本から上の方向に電波視界が開けている時です。

 

 

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