TWIN BANDER  C5600/D
究極のマニュアルインターネット復刻版
(加筆訂正済)
 
今から何年か前、日本マランツからC5600という無線機が発売になっていました。
ちょっとした改造で、広帯域にわたって受信ができるこの無線機は、かなりの数販売されました。
そこで、この無線機を徹底解説した同人誌が作られました。これC5600究極のマニュアルです。
そう発行部数1000部はあっという間に完売してしまい、プレミアがつくほどの盛況だったのですが、
残念なことに、復刻の機会み恵まれず数年が過ぎました。
そこで、インターネット上で電子情報として復刻したのです。
当時の体裁を保つため、若干いびつなレイアウトです。中途な大きさな画面で見ると
文章が連続しませんので、なるべく
 フル画面でお楽しみください。
 
 
 
  監修 解析
亀の子ハムクラブ
技術マニュアル
 
 


C5600は日本マランツが製作した145MHzバンドと435MHzバンドをカバーする
無線機で、簡単な改造で非常に広い周波数範囲をカバー出来る無線機です。
145MHzと430MHzは特に人気の周波数で、各社から毎月無線機が
リリースされています。
しかし、新製品においてもまだ、ロングセラーを続けている無線機がこのC5600なのです。
すでにC5600のオーナーの方も、このマニュアルを読むだけでも、よりC5600
に対し新たに愛着がわき、手放せないリグとなることでしょう。


 
 
C5600は5種類の違うファームウエアのバージョンがあります。この改造は1期〜3期のみ有効です。
4期/5期では(Jマーク付)では電波を出す改造のみできません。またC5600D(50W)では
パワーのみ違うだけですが、バンド外で電波を出す場合、ファイナルモジュールの同調段が多いため
ミスマッチになり、3db/octの周波数が狭くなります。
 
 
C5600の改造
改造後の周波数はこんなに広い
C5600は出荷時では日本のアマチュアバンド以外を受信することはできませんが、
改造にすることによって下記周波数を受信できるようになります。
 
VHF側 
VHFメインバンド 表 示 100.00MHz〜199.995MHz 
実際のロック範囲 約 112MHz〜178MHz 
VHFサブバンドA 表 示 250.00MHz〜399.995MHz 
実際のロック範囲 約 315MHz〜399.995MHz 
VHFサブバンドB 表 示 400.00MHz〜499.995MHz 
実際のロック範囲 約 400MHz〜498MHz
 

 
UHF側 
UHFメインバンド 表 示 250.00〜499.995MHz 
実際のロック範囲 約 315MHz〜499.995MHz 
UHFサブバンド 表 示 800MHz〜999.995MHz 
実際のロック範囲 約 800MHz〜999.995MHz
 

サブバンドとは?
VHF帯には通常の100MHzから199.995MHzの他にサブバンドとして
バンドスイッチを長く押すことによって、2mではなくUHF帯が受信できるようになっていました。
普通に改造をすると、サブバンドAである250−400MHzが選択されてしまうのですが、
内部にあるチップ抵抗組み替えることにより、サブバンドBである400−500MHzを選ぶことができましした。
この2つのバンドは、切り替えるだけではなく、隠しコマンドの入力することにより、
250MHzから499.995MHzまでを連続させることもできます。
UHF帯のサブバンドとしては800MHzから999.995MHZが選択され、自動車電話バンドが受信できるように
なっています。
 
 

ソフトウエアでの改造
C5600はバンドの拡張をはじめから    改造するには特別な工具などは必要
想定された無線機で、フタを開ける     なく下記ように入力する事によって
事なく、カンタンなコマンドを実行      周波数が拡張することになります。
することによって受信周波数範囲を    もし、まだあなたのC5600が無改造な
拡張することができます。          らば下記コマンドを入力してみてください
 
 

コマンドによる受信改造
VHF拡張(2m側の周波数の拡張) 
バンドをVHFに合わせてから 
メインダイアルを押しながら「UP」ボタン→「DOWN]ボタンの順で押す 
UHF拡張(430MHz側の周波数の拡張) 
バンドをUHFに合わせてから 
メインダイアルを押しながら「UP」ボタン→「DOWN]ボタンの順で押す
 

これだけで、VHF帯とUHF帯の      コマンド拡張
受信周波数が広がり、エアーバンド    C5600の機能の中にはコマン
ンドなどが聞こえるようになります。    ドにより変化させられる機能があ
普通のこの改造だけで十分に楽しめ   ります。これをかくしコマンドと
る無線機にヘンシンします。         言うこともあります。
また、無線機につきものの、ロック範囲  0Ω抵抗をカットした場合(いわ
問題もありますので、表示するすべ    ゆるハード改造)には、VHF/UHFと
ての周波数で受信が行われるわけで   も最大にまで周波数が拡張するの
もありませんので注意が必要です。    ですが、2m側のサブバンドは25
さらにPLLはロックしていても、       0MHz〜399.995MHzが選択されてし
高周波増幅部の性能が悪い場合は、   まいます。
受信信感度が著しく悪くなります。     内部にあるチップ抵抗の組み替え
無線機が広範囲に渡って、高感度      で400MHz〜499.995MHzを選択する
に受信するためには、安定にロック    こともできますが下記コマンドを
するPLLと広範囲に渡って受信する    行うと2mのサブバンドAである250-
事ののできる高周波増幅回路が必    399.995MHzに、サブバンドBである40
必要になるのです。              0MHz-499.995MHzを連結し、250MHz
C5600ではこの両方を実現するため    zから499.995MHzを連続カバーさせ
に色々な部分で、工夫をして広帯     ることができます。
域に渡って受信するとともに、VH      この改造をすると2m側の受信範
F側ではエアーバンドの受信のため      囲もUHF側と同じになり、UHFバンド
AMの受信回路を用意しています。     受信ができるようになります。
 
 
 

サブバンドで300MHzを出す改造

2mをFUNC+DOWNキーでサ        
ブバンドに変更をしておきます。         
周波数を304.6125MHzに変更してく      
ださい。                      
リピーター用シフト周波数を3.4125MHz   
に変更します。                  
ステップは12.5KHzにしないとこの周波   
数にはなりませんが、ステップを50     
KHzにする必要がありますので周波数    
とステップが決まったら、ステッフを50KHz 
にします。                      
シフト方向をー(マイナス)にします。    
この状態でメインダイアルを押しな        
がらUPボタンを押すとプッと低い         
音がします。                      
周波数を399.995MHzに上げると
400MHZから上にいけるように   
なります                         
カバー範囲はUHF帯と同じ程度で       
受信回路が異なりますので、感度
はUHF側とは異なります。           
アンテナはUHF側と共通なので、       
同じ周波数に合わせると感度が若干     
します。                       
リピーターのアップリンクチェック       
などに有効利用することができるで      
しょう。                        
 
 
 
 
2m側をサブバンドにした状態で下記コマンドを入力します。 
周波数 304.6125MHZ 
シフト 3.4125MHz 
ステップ 50KHz 
シフト方向 「Tー」 
の状態で 
メインダイアルを押しながらUPボタンを押す
▲VHFを付加バンド 250-399.995を250-499.995MHz広げるコマンド 
 
 


ハードウエアによる改造
改造はVHF側にあるダイオードマトリクスの
ダイオードのカットをすることによって行います。
よく言われるのが、とりついているダイオードを
みんな切れといわれています。
確かにみんなカットすると、受信改造が完了する
のですが、ダイオードそれぞれに役割があります。
ソフトウエアの改造でも、ハードウエアの改造でも
どちらでも同じです。
 
 
 



 
極秘事項伝達
 

改造 これはすごい300MHz台の送信改造
C5600は一見送信周波数範囲が 400-470MHzの範囲と見られがちで
すが、実は300MHz台でも電波が出ます。この送信改造はC5600(Jなし)で
ハード改造がされているものに限ります。
 
 
 
                      電波の出る改造方法は
       VHFバンド
       1、 VHFモードで138.46MHzにする
       2、周波数ステップを5KHzにする
       3、メインダイアルを押す
 

       UHFバンド
       1、VFOモード391.25MHzにする
       2、周波数ステップを5KHzにする
       3、メインダイアルを押す

     このコマンド入力で300MHzで電波がで
     るようになりますが、パワーモジュ
      ールのSWRが高くなりますので、
     長時間の送信は避けたほうが無難で
     もし長時間の送信をするならばモジ
     ュールそのものを300MHz帯のものに
     交換する必要があります。
 
 



 
 
 C5600ダイオードマトリクスの謎

C5600はコマンドによる改造    C5600を受信する改造ではパ
によって何十倍にも、受信周波数  ネル裏側の0Ω抵抗を左側から4
が広るようになっています。とこ    本カットすると雑誌には紹介され
ろがこのコマンドによる改造は、   ていますが、この4本はどのよう
リセットをしてしまうと、すべて     な役割を持っているのでしょうか?
がノーマルに戻ってしまいます。    C5600の0Ω抵抗は、リセ
そこで、ダイオードを切ったり      トした時に読み込まれ、設定が変
することにより行う改造で、イニ    わるようになっているために、イ
シャル(初期)設定を変えてしま    ニシャル(初期)設などと呼ばれ
えばフルリセットをしても設定が    ています。この0Ω抵抗をは電気
元に戻ることがないためダイオー   的にどのような接続になっている
ドをカットする造が広く行われて    のでしょうか?
います。ダイオードをカットする     C5600のフタを開けて内部を
事が改造なのかという議論もあり   のぞくと0Ωの抵抗が何本かなら
まずが、C5600でも改造とい    んでいます。
う事で話を進めていくことにいき    もちろん改造しやすいように、立
ます。                    て型に配線されています。
カットするには先の鋭いニッパー
などが必要となります。
 


▲VHF側にある”カットするためにある0Ω抵抗郡”
 
 
 
 
 

この0Ω抵抗はQL20とQL2       それぞれ1本づつの意味のある信
1という2つ4021というシフ        号をコンピューターに読み込ませ
ジスタに接続されています。        るために複数あるデーターを読み
シフトレジスタはそれぞれ8本の      込むことをパラレル(並列)シリ
入力をもっており、全部で16本       アル(直列)変換と言い、俗にパ
のパラレルデーターがCPUから       ラシリ変換と呼ぶこともあります。
の読み込み信号に従った順に読ま     4021はパラシリ変換には都合
れるようになっています。           のよいICです。
 
 
 

【Cをカット】
実はQL21の5ピンに接続された      【Dをカット】 変化しません。
0Ωの抵抗をカットするということ       【Eをカット】 変化しません。
で、このピンはVHFバンドの受信       【Fをカット】 変化しません。
周波数範囲を変更します。           【Bをカット】 変化しません。
それまでの144.00MHz〜145.995MHz    この4本は、スキャンなどのタイ
だったものが100MHz〜199.995MHz     ミングなどが変化していると思わ
まで拡張します。                 ますが実験では変化しません
【Eをカット】                    他のマランツ社の製品に
同じくQL21の13ピンに接続さ        はポーズタイムの設定や、スキャン
れていて、Cをカットすることによ       の方法が使用している周波数を探す
って得られた周波数にさらに250MHz     ビージースキャンと、使用していな
〜399.995MHzを追加するようにしま     周波数を探スキャンなどが切り替
す。この追加された周波数をサブバ      えられるようになっていますので
ンドと呼びます。                  似た機能が搭載されている可能性が
この改造によってC5600の2         ありますが、現在のところ不明です。
m側は100MHz〜199.995MHzに250〜
399.995MHzが追加されるようにな        不明?
ります。                       スキャン関係の時間設定は変化する
【Gをカット】                     時間がmSオーダーになるために正
QL21の15ピンに接続されて         確に確認することが困難です。
いてカットすることによって430MHzバ     また取りこぼしなどの問題も起こる
ンドが拡張250-499.995MHzに拡張し     ためにやみくもに変更するのはやめ
ます。                         たほうが良いでしょう。
【Aをカット】                     改造の最中に不明な作動が起こった
QL20の7ピンに接続されてい         場合はすぐに元に戻すようにすると
て、切ると430MHzバンドに          それ以上に被害が進むことが防止で
800-999.995MHzの自動車電話バン      きます。
ドが追加されます。                 もちろん自分の能力以上の改造は機
追加された自動車電話をサブバン       械の永久故障を引き起こすことにな
ドと言います。                    りますので、適当な所で引き上げる
このバンドは自動車電話を受信す       事が必要です。
ために用意されたバンドで870MHz       その点C5600ではソフトウエア
あたりに受信のピークがあり、パ ア      だけでの変更が多く、不明な作動
ソナル無線などの感度はあまりよく      が起こった場合には、リセットする
ありませんので、パーソナル無線など     ことによってすべて初期状態に戻る
を聞く場合はサブバンド受信回路        ことになりますので、安心してコマ
を再調整する必要があります。          ンドを打ち込めるでしょう。
 



 

チップ抵抗関係
C5600には、フタをあけてすぐ        【チップのD】
見えるジャンパーの他にチップの0      カットするとこでVHFバンドが送信改造
Ω抵抗で設定している機能がありま     になります。(130-173.9875MHz)
す。あまり大きな変化はありません      【チップのH】
が、ずべての入力を解析したものが      カットするとUHFバンドが送信改造にな
これから紹介する変化です。           ります。       (400-470MHz)

チップのC】                     【チップのB】
QL20の5ピンに接続されていて       国内/海外の切り替えです。
てチップを取り付けるとオートリピ       国内仕様では抵抗が付いていてい
ーターが使用できなくなります。        て、145.00/433MHzがメインチャンネルとし
この抵抗は最初からついていない状     てプリセットされ、初期周波数もこの
態になっています。                周波数にイニシャルセットされます
つまりオートリピーターが使用可能      チップBカットするとで146/446MHzが
の状態に設定されています。いませ     イニシャルになります。
んので、改造の必要はありません。     バンドの拡張改造を行わない時に
【チップのA】                   この抵抗のみをカットするとVHF=1
チップのAのシルクがありカットし       44〜148.9875(12.5KHzステップ)
ておくと、2mのコールチャンネル      UHF=438〜449.9875(12.5KHzステップ)
のみ146.0MHzになります。          のUSA仕様になります。
同時に2mに付加されるサブバンド     USA使用になってもステップなども
の周波数が250.00MHz〜399.995MHz    自由に変更できますので、心配は
400.00MHz〜499.995MHzに変化       不要です。
します。
 
 
     
                    
 

QL20 7(PI1) 0Ω抵抗A
     6(PI2) 0Ω抵抗B
     5(PI3) チップC
     4(PI4) 0Ω抵抗D 
    13(PI5) チップE  
    14(PI6) 0Ω抵抗F
    15(PI7) チップ G
    1 (PI8) チップ H
QL21 7(PI1) チップ A
     6(PI2) チップ B  
     5(PI3) 0Ω抵抗C
     4(PI4) チップ D
    13(PI5) 0Ω抵抗E
     14(PI6) チップ F
    15(PI7) 0Ω抵抗G
     1 (PI8) チップ H
 

▲ダイオードマトリクスがどこに接続されているか?の図
 
 



技術的なこと
C5600にはノーマルくらべ色々     同じようにQ107 1SS301
な周波数が聞けたりするようになっ   はサブバンド出力を切り替えるダイ
ています。                   オードスイッチになっているのです。
もちろんこれらは偶然出来あがった  フロントエンド部には、不自然に空
ものではなく、はじめから設計され    白が多いと思いませんか?
たものなのです。               そうです。ここにサブバンドの受信
回路図にもこれらの機能のことは記   回路が組まれているのです。
載されていませんが、いくつか不明
な部品をたどると解明できる部分も    回路図にない!
あります。                    このように、C5600の図面には
もし手元にC5600の図面があっ     都合の悪い回路は掲載されていませ
たら広げてみてください。          ん。これらの回路をまとめると…。
UHFの受信のトップあたりです。
PLL、VCOユニットからミキサ       ☆UHFサブバンド受信回路
サにむかって、Q0071SS301      ☆UHFサブバンド受信のための逓
という部品がありますね。                 倍回路
の部品はダイオードスイッチで、      ※VHFサブバンドの受信回路
VCOから出力された出力をそのま    ※VHFメインバンド受信のための
まミキサーに加えるか自動車電話へ         分周回路
の回路に加えるかの、ダイオードス    ※VHFのエアーバンドの受信のた
イッチなのです。                                         めにAMの受信回路
PLL,VCO部はマスクされてし       ☆オートリピーターのための音声回
まっていますので内部はハッキリし           路
ませんが、ダイオードスイッチの電     ☆オートリピーターのためのスケル
流を吸い込むための回路があって、     チ回路などは記載されていません。
VCC側からくる電流を吸い込んで      ただ、回路図を書いた時には、記入
いるはずです。またダイオードスイ       されていたようで、この回路も不自
ッチングするはずのVCCもメイン       全なかたちで切除されています。
バンドしか接続されていませんが、      なんでこんなことをするんでしょう
実際はサブバンドを選んだ時に電圧
くるラインもあるはずです。           みんなでさがそう
このように回路図からも不明や不思     アマチュア無線機は改造の出来る無
議な点がたくさんあらわれています。     線機なのです。
不用意なスキマや、入出力のはずな     買ってきたまま使用するのもよいで
のにどこにも接続されていない場所     すが、どんどん改造、解析して自分
は、ブロックダイアグラムから追っ       の無線機を作る上げてみるのもいい
ていくととんでもない所に接続され       でしょう。
ているのです。


 

自動車電話バンドが受信できるか?
アマチュア無線機で870MHz帯       自動車電話バンドを受信する場合は
の自動車電話がなぜ受信できるので    この局発の周波数を2低逓倍して使
しょうか?                      用しているのです。
アルインコさんなどの場合は、自動      2逓倍後の局部発振周波数は453.900
車電話受信のためのコンバーターを     953.89MHzとなりますね。
内蔵し、そのコンバーターで自動車      この周波数のうち、自動車電話バン
電話を受信するようになっています。     ドは800-900MHZを表示しますので、
無線機では送信部を停止させ、表示     必要な局部発振周波数は776.95-976.
周波数をコンバーターにあわせて書      945MHzとなります。このできあがっ
き換えているいるに過ぎません。        た局発を自動車電話受信のためのフ
そのため自動車電話バンドではトリ       ロントエンドに加え受信させている
プルスーパーヘテロダイン状態で受      のです。
信をしていることになります           自動車電話受信の弊害
C5600の場合は、自動車電話バ       局部発振周波数を2逓倍して作りだ
ンドは最初から設計に入っていて、      すのですから、最少ステップの5KH
ダブルスーパーの状態のまま受信を      zの選択ができなくなります。
しています。                     そのため、C5600の自動車電話バンド
受信改造後のUHF帯は250.0MHz〜      では5KHzステップは選択できな
499.995MHzを表示し、そのうち、        いようになっています。気がつかな
280.00MHzから499.995MHzくらいまで      かったでしょ・
PLLがロックします。                 このように回路図から得られる情報
UHF帯の中間周波数は23.05MHzを利      から思わぬ「苦肉の策」が発見され
用していますので、局部発振周波数       ることもあるのです。
は、下側ヘテロダインで、226.98-476.945    この事からC5600は設計時から
となります。                      広帯域に渡って受信することに重点
ノーマルの場合は、この局発を使用して    を置いて設計さえれたものであると
受信を行っています。                考えられます。
 


▲C5600にはメインバンドの他に、サブバンドのための受信回路が用意されている。
VCOを2逓倍して、サブバンドを受信する妙技に拍手〜
 
 


受信回路
それでは自動車電話を受信する回路    フタをあけて確認してみてください
などはどこにあるのでしょうか?        そうですこんなところに実装されて
C5600が手元にあった場合は、         いるのです。


 



C5600にある受信回路
VHF以外はすべて430MHzのア     で感度がグーンとアップします。
ンテナに接続されてしまっています    上図の場合、同軸を取り外して、上
ので、アマチュアバンドからかけ離     側にアンテナから自動車電話バンドのア
れた周波数では感度が悪くなります。   ンテナを接続することになります。
C5600では、自動車電話バンド      この改造はC5600ではやはり意
のみが、別のアンテナを使用できる    識的に行えるようになっていて後ろ
ようになっています。UHF側のフ の   放熱器に同軸用の穴が開いていま
ァイナルのシールド板を開けると1    す。この穴に3Dくらいの同軸を通
本の同軸が使用されています。      線して使用するようになっています。
この同軸は、自動車電話への受信ア   専用のアンテナはやはり感度がよく
ンテナ入力です。                自動車電話がゴキゲン状態で受信で
この同軸をとりはずして、外部アン     きるようになります。ぜひお試しく
テナを使用すると自動車電話バンド    ださい。


VHFバンドでなぜ他の周波数を聞く
ことができるか? 78.2MHz〜178.195MHzが必要な場合
VHFバンドでは、100ー199.995MHz    はVCOは156.4MHZー356.39MHZを発
を表示します。VHF側の中間周波数は  振していることになります。
21.8MHzですので、必要な局部発振周  VHF側はサブバンドとして250MHzー
波数は78.2-178.195となります。      399.995MHzまでが拡張できて、チップ
PLLのロックは112MHz-178MHz程度   部品の組み替えか隠しコマンドによ
です。                       り250MHz〜499.995MHzを受信できる
この局発は実はVCOの発振周波数    ようになります。
を2分周したもので、実際の発振周     サブバンド受信回路は、上側ヘテ
波数は必要なIF周波数の2倍の周     ロダインになっていて271.8MHz−
波数で発振しているのです。         521.795MHzを必要とします。
 


▲C5600のVHFの回路図このようにVCOの出力を1/2にして使用する
 
 
 
 
 


2mバンドにだけある Qが高いので周波数帯域と利得の問
バリキャップチューン 題を解決しなければなりません
受信機では受信帯域が問題になり    、 そこで、同調回路のコンデンサーに
VHF帯ではコイルをたくさん巻く必       バリキャップを使用して、共振周波
要がでてきます。                 数を可変するようにしているのです。
そのためコイルのQが高くなる傾向     このバリキャップチューンによって
があり、そのまま受信回路としたの      周波数全体をなだらかになるように
では、受信のできる周波数の幅が1      工夫しているのです。
MHz程度しか確保することができま     バリキャップに加える電圧は周波数
せん。                        によって可変する必要がありま
といってQを低く設定すると今         で、この電圧はVCOのCVから少
度は利得がとれなくなります。         し拝借して、そのままチューン電圧
VHFのメインバンドはコイルの         として使用しています。
このように周波数拡張のために色々     PLL回路のCVは、長いあいだ高
な工夫がしてあるのがわかります。      インピーダンスでPLLのループフ
バリキャップチューンは、決してあ       フィルタの内部にあるために、加工
たらしい技術ではありませんが、CV      を避けられていた場所だっただけに
(コントルール電圧)をそのままバリキャップ C5600を設計した当時にはかなりの
に加えしまうというのは斬新なアイ       実験試作が行われたと推測できます。
デアでしょう。
 
 

VHF側の部品面をみる

 
 

▲VHFのエアーバンドを受信するた     
めにVHF側にはAMを受信するTA7787FPというAMを受信する専用のICが装着
されています。
 

広帯域VCO
VHF/UHFバンドともおなじで       そのためCVのためにDC−DCコ
すが、100数MHzから500M        ンバーターを用意して、CVに必要
Hz以上という非常に広い周波数を     な電圧を作成しています。CVに加
ロックさせるためには、広く安定し      わる電圧は何と23Vもあります。
たVCOが必要になります。          使用する高い電圧と安定するVCOの
そのためVCOに必要とする電圧も     ために広帯域に渡ってPLLがロック
かなり高いものが必要になり、バリ     するようになっているのです。
キャップにに加えています。          ちなみにC5600のVCOは約150MHzから
C5200の時代に周波数ディスプ      500MHzくらいを発振するようになっ
レイが蛍光表示管だったので点灯さ     ているようです。
せるために20V程度の電圧が必要     少し前にこんなに広い周波数をカバ
だったため、この電圧を分けてもら      ーするようなものは考えられなかっ
VCOのCVとしていたのです たのですが、技術の進歩はオソロシ
C5600になって表示がLCDに       ク早くこのようなVCOを登場させて
なったために、表示部では高電圧が      しまったのです。
が必要なくなってしまいました。
 
 
 
 

日本マランツ国内仕様品と国外仕様
品の違いについて

日本マランツ社は国内で発売されて
いる無線機の他に、輸出されている
無線機があります。
この仕様の違いをC5600を例に
説明します。
国内製品の場合、C5600には1
0Wタイプと50WタイプであるC
5600Dの2機種あります。
さらにC5600にはロット違いを
含めると3機種+@のバージョンが
あり@バージョンからはJ付きにな
っています。
このC5600が国外で売られる時
は、第2ロット以降のものが海外へ
発売されていきます。
CPUのプログラムのバグやハード
的なバグが万一見つかった場合、国
外に出てしまうと処理するのに莫大
な経費がかかるからなのです。
また海外には10W機は存在せず、
50W機のみとなります。型番はC
5608Aというものになり、本体
は145/450MHzトランシー
バーとなります。
この仕様がアメリカ本土向けになり
ます。
また国内を流通するC5600DX
などのX仕様は、アジア近郊に売ら
れる目的で、わざと日本語の取扱説
明書を付けて売られる商品です。
ハイテク日本製品を買い求めるユー
ザーたちにとっては日本語で書かれ
たパッケージや取扱い説明書までも
が最高のステータスとなるようです。

 
 

C5600究極のマニュアル VER1.0亀の子ハムクラブ 森沢 優 1994-2-4インターネット版1999−03−13

製作ソフト:一太郎VER4.3+花子2.2
ネットスケープコンポーザ+一太郎VER8.0

著作権所有 無断コピー引用厳禁
本件についてはどの雑誌にも紹介されていません。
これから紹介されれば、その雑誌はたぶんこの内容を
盗用したのでしょう。無断引用、無断使用は厳禁します。

 
発売 160東京都新宿区西新宿7-3-10山京ビル503 テレビパラダイス <新宿店>
インターネット版管理 東京すわん 1999−03−12
 

ブラウザのBACKで戻ってください
 
inserted by FC2 system