■COMMUNICATION RECEIVER ICーR1■  
 
 
 


 
 
 

 
         究極のマニュアル

 
      
                監修・解析
                        亀の子ハムクラブ
                          技術マニュアル
  
インターネット
加筆訂正版
 

当時のままのレイアウトのためよこ60文字程度でお読みください。
途中の文章の段組が読めなくなる可能性があります。
 

            
本書はICOM社発売のIC-R1を徹底解析した究極のマニュアルです。
無線機は年々集積度が増し、もはや個人レベルでの改造などはできなくなっています。
そこで、無線機改造のエキスパートが集まる技術集団「亀の子ハムクラブ」が総力を集結
して完成させたのがこのIC-R1解析書です。
回路図1枚付属しないIC-R1にハンダコテとピンセットで解析するなどというのはとてもキケン
であることは間違いないでしょう。
そこをあえてトライし、その解析結果を公開いたします。
 ただ、集積度が高いICーR1の解析作業にも限界があります。
実際の回路と異なる解析解説が加えられている部分などがありますが、
解析最中の文章としてそのまままにしています。
 本書を読んで改造をする場合は充分に注意して行って下さい。
また、本書を見ての二時的故障についてはその責任を負いません。
 
 



 
 

まずはカゲのうすくなったR1のスペックを紹介しましょう。

 

           ■ICR1のカタログスペック■
・受信周波数範囲       0.1MHz〜252.9MHz→<船舶電話+コードレスホン>→
            →255.1MHz〜261.9MHz→<船舶電話>→
            →266.1MHz〜270.0MHz→<船舶電話>→
            →275.1MHz〜379.9MHz→<コードレスホン>→
                         →382.1MHz〜411.9MHz→<新幹線電話>→
            →415.1MHz〜809.9MHz→<自動車・携帯電話>→
            →960.1MHz〜1300MHz
       <カッコ内はJ規制のため聞こえなくなっている周波数帯>
        
・受信電波形式       :AM/FM/ワイドバンドFM(W-FM)
・周波数ステップ      :0.5/5/8/9/10/12.5/15/25/30/50/100KHz
・アンテナインピーダンス :50Ω 不平衡
・電源電圧          :DC7.2V 標準
                 :DC6-16V 接続可
・設置方式           :マイナス設置
・消費電力           :パワーセーブ時約 15mA (デューティー1:16時)
                   最大時 300mA以下
・使用温度範囲       :-10度C〜+60度C
・外形寸法                  :49(W)102.5(H)35(D)
・受信方式           :AM/FM トリプルスーパーヘテロダイン
                   :W-FM  ダブルスーパヘテロダイン
・受信感度         :AM      2〜24.9995MHz    + 4dbμ(10dbS/N)
                                             25〜 905MHz    - 2dbμ(10dbS/N)
                                :FM       2〜24.9995MHz    - 2dbμ(12dbSINAD)
                                               25〜905MHz    - 8dbμ(12dbSINAD)
                                  :W-FM  2〜24.9995MHz    +16dbμ(12dbSINAD)
                                       25〜905MHz    +10dBμ(12dbSINAD)
・スケルチ感度          :AM      2〜24.9995MHz    + 2dBμ
                                              25〜905MHz  - 4dbμ
                                :FM    2〜24.9995MHz    - 4dbμ
                                              25〜905MHz   -10dbμ
・選択度           :AM     15KHz /-6dB
                             :FM     15KHz /-16db
                             :W-FM    150KHz /-6db

・低周波出力       :0.15W以上(7.2V 8Ω 10%歪)
・低周波負荷インピーダンス:8Ω  
 
 
 このデータはIC-R1取扱い説明書 A-5161S-1J-C Jマーク付き
 メーカースペック を参考にしています。
 これだけのスペックを小型化していますので、集積率は高いと言えるでしょう。
 



 
のうがき
Jマーク
 アイコムが発売したIC-R1はハン       これが J−マークというものです。
ディながら2MHz〜905MHzを受信でき      折しも、同時期は携帯電話やコー
るというハンディ受信機です。            ドレスホンなどの電話事事業も盛ん
発売から何年も経過しているにも関      になってきた時期であり、電話が利
わらず現在も発売が行われてます。      用する周波数も聞こえないようにす
 ハンディタイプのレシーバーは各       るように働きかけたもとも盛り込ま
社から発売されているのですが、通      れ、Jマークは送信禁止と電話周波
信機メーカーから発売されているの      数が聞こえないようにするという規
が、このIC-R1とアルインコのDJ-X1      制に発展したのです。
だけだからなのでしょう。
 売れているならば、各社が後を追       さて、広帯域レシーバーは最大の
って発売をしてもよさそうなのです       ウリであるのが、「連続受信」であ
が、なぜかこの分野には新製品があ      るといっても過言ではないと言われ
りません。                                 ています。
 これは少なからずとも、Jマーク        それが Jマーク規制のために電話
の影響があるのではないでしょうか      を使用する周波数を受信できないよ
  Jマーク導入以前には、通信機メ      うに改造をしなくてはいけなくなっ
ーカー各社からたくさんの受信機が      たのですからたまりません。
発売されていました。ケンウッドか       この Jマーク規制によって広帯域
らは、RZ−1、ヤエスからFRG        レシーバーの 1番オイシイ部分がな
−965、日本マランツからはAX        くなってしまったということになり
ー700などがラインナップされ、        ます。
受信ブームが起こり初めていたので       魅力のない受信機は、販売数は期
すが、受信ブームに水を差すように      待できませんので各通信機メーカは
現れたのが、J マークというもので       国内の販売から撤収してしまったよ
す。当時アマチュア無線機は、簡単      うな状況にあるのです。
な改造を施すことによってアマチュ       そんな中、ICOMでは広帯域受信機に
アバンド以外を受信するように回路      ついては力を入れていて、モービル
が組まれていました。                     機タイプとしてIC-R100、固定タイ
 そのため簡単な方法で380MHzのコ      プのIC-R7000などたくさんのライン
ードレスホンなどが受信することが       ナップがリリースされています。
できていたのです。ところが、この       モービル機や固定機のラインナッ
改造とともに送信をともなういいわ       プがあるからこそIC-R1は売れてい
ゆる”送信改造”というものも準備       るのです。
されていたのです。
 この送信改造が横行するようにな
り、アマチュアバンド外でムダ話し
をする局が増えてしまったのです。
 アマチュア無線機においてはアマ
チュアバンド以外に電波を出せない       Jマークは
ようにする規制が行われたのです。      邪魔マーク
 
 


     
 
ICR-1の内部解析開始
IC-R1は購入してきても回路図は付いていません。
 そのために内部がどのようになって受信しているかはまったくの不明                                               
 でしょう。IC-R1は背面のネジ、5本開ければ、中を見ることができますので、すこ                                 
  しでもウデに自身がある方ならば、   内部を開けて見たかも分かりません。
ところがIC-R1の内部では、各基板 が立体上に基板が組まれていて、配    
線を追うことはほとんど不可能なことに気がつきます。    
解析しにくければ、しにくいほど解析しがいがあるというものです。      
興味のない人もこの機会にフタをあけてみたらどうでしょうか?             
 もちろん内部の配線は非常に切れやすいので細心の注意が必要です。
 
ICR-1を解析するのはフタを開けなければなりません。
その時に必要なもの。 

★まず机の上を片づける
★小さいネジを保管する箱を用意する
★時計用の小型のドライバーを使用する      
★機械は必ず開くもの、無理して開けることはしない
★内蔵バッテリで電力が供給されているのでショート厳禁。
 
 

                                  
周波数のサンプル                           
 IC-R1が100.00MHzを受信しているととして、使用する周波数を図の中に
れてみることにしましょう。              
アンテナに100.00MHzの電波が到来したとすると、その信号は「FIL A        
 UNIT」に到達します。    1stIFは266.7MHzですので、その差の 周波数を
VCOは発振しなければなりません。上側ヘテロダインで366.7MHz を発振し、
100MHZは266.7MHzにコンバ ートアップされIF周波数になります。
 266.7MHzIFは、256MHzと混合されて 10.7MHzの信号へと変換され ワイド
FMはこの10.7MHzで直接受信し ていますがナローFMは、この信号をさ
らに455KHzに変換して受信させるよう にしています。
 


 
 
 

 



 

★FM
 受信感度の調整                            あるC23で調整します。
「BPF UNIT」にあるトリマ C4 C7         調整周波数は256.000MHz
で最大感度に調整する調整値は0db        5KHz以下の信号がある場合は、任
μ以下                                       意の周波数***.9995MHzに周波数を
 この調整はすべてのモードで有効        合わせて「I/O UNIT」R1で任意の
Sメータの調整                               周波数±***.0095に設定します。
 「DET A UNIT」にあるR5で-10dbμ         ±は256MHzを中心に反転しますの
(1KHz:3.5KHzDEV)Sメータ指示を9に        注意が必要です。
設定
                                                 周波数精度は、±0.5KHzが設定でき
★W-FM                                      ればOKとします。
 メインユニットにあるL6で、歪が          局発の安定度はあまりよくありませ
最も少なくなるように調整する。             んので、だいたいでOKです。
 
★PLL部                                     機械本体のヒートランの必要はあり
 局発の周波数はメインユニットの        ませんが、一応室温(10度〜20
L5で256.000MHzに合わせる。              度)を大きく外れるときは、調整後
  IO UNITのR1は、最少ステップの         にもう一度周波数を確認してくださ
インクリメントの調整。                    い。
  L1 L2はPLL/VCOの調整
 1stローカル周波数は、PLL VCOに
 
 
 

受信の不思議                              アンテナの秘密
 受信機を作るにはある程度決まり      アンテナ端子の部分をよく見ると
ごとがあって、普通はその決まり通       何か10KΩの抵抗で電源が出力されて
りに製作することになります。とこ          います。
ろが、決まりどおりに作ると広帯域        プリアンプなどを装着した時などに
に渡って受信ができるなどというも         使用するものだと思われますが、ICR-1
のはできずに、普通のモノバンド受        にはオプション設定されていません。
信機になってしまうのです。                 この電源は内部にあるHVというバッ
 IC-R1では、広い周波数を均一に受     テリー回路から直接給電されています。
信させるためにいくつかの工夫が回      そのために加える電圧によって電圧が
路にあります。                                  変化することになりますので、これを
 まず、アンテナから入った高周波        利用する回路などについては電源電圧
信号は、普通の設計だと同調回路を     の変化に対して余裕を持つことが必要
通過してすぐに増幅が行われるはず     になるでしょう。
ですが、IC-R1ではメインユニットを
通過して、「FIL A UNIT」と「FIL B U      ユニットでの増幅
-NIT]に入力されて、最初のフィル           「FIL B UNIT」のハイパスフィルタ側に
タを通過することになります。                ある増幅回路にはμPC1676という豆粒
 このユニットの内部は、それぞれ         のような広帯域受信ICを使用して利得
2つのフィルタが組まれていて、「FI         を稼いでいます。
-L A UNIT」は0.1MHz〜534MHz通過さ     NECディバイスとしては、ポピュラー
せ、「FIL B UNIT」は534MHz〜1300MHz   なICですが、受信用として使用するに
を通過させるようになっています。          はあまり適当な石ではありません。 
 それぞれのフィルタの選択は、「IO        もちろんトランジスタで同じ回路を
UNIT」出力からバンド変更の信号を受    組むとなるとかなり大がかりになって
けて選択されるようになっていて、          まいますので、仕方のない採用ともい
選択された信号は「MAIN-UNIT」に戻っ   えるでしょう。
ていきます。
 
 
 
 
                    ▲IC−R1のフロントエンド部

 
 


BPF UNIT
「BPF UNIT」ユニットに入った高周波        つながっています。
信号は2SC3538で増幅されます。         混合され周波数変換された後には
この高周波信号はDBM(ダブルバラン      なるたけ優秀なフィルタを装着する
スドミキサー:混合器)CB424MIのRF         のが良い無線機を作るために必要な
入力に加えられています。                    のですが、ここではセオリー意外の
 CB424MIのLO(ローカル入力)には       方法で受信を行うようになっていま
VCOからの局発信号が加わっていて      す変換されたIF周波数266.7MHzとな
混合されています。                              り、ユニットからはIF信号のままメ
 混合された直後には通常フイルタ       インユニットに出力されてメインユ
が用意され、信号を安定させるよう        イットのミキサに加わります。
になっているはずなのですが、これ        またDBMの前後には「DET A UNIT」か
には、フィルタがなく簡単なLC同調        らAGCが加えられており、利得を制限
回路があるだけで、直接増幅回路に      しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

メインユニット
 BPFユニットから出力されたIF信号266.7MHzの信号は、メインユニット
上に戻されていきます。ローカルユニットからの256MHz信号と混合する
ために、2SC4403というトランジスタに加えられます。ローカル信号の
256MHzはトランジスタの B(ベース)に加えられ、266.7MHzの信号と混合
され10.7MHzの信号に変換されます。
 変換された10.7MHzの信号は10.7MHzのセラミックフィルタで選択
され、各受信回路に引き渡されるようになっています。  

             ▲メインユニットのミキサ部
 
 
 


ローカルユニット
 ローカルユニットには、DBMに安         で分割して、電圧を制御しています。
定した局部発振信号を渡すために、      このような規則正しい抵抗の組み方
水晶が使用されています。                  をラダー状態ということもあります。
ここのローカル信号は、2nd IFを作       水晶回路で周波数が動かせてもせ
成するために水晶発振回路が使用さ      めて10KHzくらいのものですが、IC-
れているのですが、この水晶に周波       R1では、5KHz以下を必要とする周波
数の秘密が隠されています。                波数ステップがありますので、5KHz
 水晶にはバリキャップがかませて        以下の周波数を選択できるようにす
あって、周波数が多少動かせるよう       るために必要な技術なのです。
になっています。                               つまり、PLLで制御されるVCO本体
 この周波数の変化は直接受信周波      からの最低ステップは 5KHzであり
数に変化となって現れます。                それ以上の細かい周波数は、このロ
 バリキャップには、電圧が加わっ         ーカル信号を周波数を水晶を動かす
ているのですが、この電圧はCPUから      ことで作り出していたのです。
の 4ビットバイナリーデーター抵抗
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

┌──────────────────────────────────┐
│■作動の例■                                                                                          │
│100.000MHzを受信している時にステップを0.5KHzに設定して周波数を上げて       │
│行く場合100.0045KHzまでは、PLLからの合成周波数は100.000MHzのままで       │
│ローカル周波数が4.5KHzだけ変化して100.0045MHzを受信するようになって        │
│いたのです。知らなかったでしょ。
└──────────────────────────────────┘

 



 

ナローFM受信回路
 10.7MHzの信号は「DET A UNIT」に加          ものでナローFM用のものですが、
えられます。                                         フィルタの数が少ないIC-R1では唯一
信号は2SC3770で増幅されTK10487MB      マトモなフィルタになっています。
の20ピンに入力されます。                        充分にフィルタリングされた455KHz
このICはIFAMPと局発、ミキサ検波回           の信号は、クワドラチュア検波回路
路などがついた狭帯域受信用のもの          を通過してFM復調されます。
です。                                                   クワドラチュア復調回路には455KHz
 ICの20ピンに入力された10.7MHzの           のディスクリミネーターを使用して
信号は、増幅されIC内部のミキサに            無調整化を図っています。
注入されます。
 ミキサのLO(ローカル)側には局             AM受信回路
部発振回路があって10.245MHzの水         AMの受信はTK10487の中で一緒に行
晶を発振させています。                         います。
ミキサからは混合後455KHzに変換さ          TK10487の11ピンから出されたAM成
れ、ICの4ピンに出力されてきます             分は、抵抗とコンデンサーを通過し
ので、455KHzのフィルタを接続し、             て4046によるスイッチング回路で選
フィルタリングされます。                           択され、N-FMの信号と同じ端子から
 ここのフィルタはGFMU455Eという             出力されてます。
 
 
 
                                            ▲   DET A UNIT
 

■TK10487:データー東光株式会社■
機  能   狭帯域FMIF受信システム
用  途   アマチュア無線:コードレスホン
構  造   シリコンモノリシックバイポーラ集積回路
外  形   20-LEAD MINI FLAT PLASTIC PACKAGE
 
 
 
 
 
 



 

W−FM受信回路               
 ワイドのFMは「DET B UNIT」で受信      増幅を受けて、クワドラチュア復調
されます。                                回路を通過され復調します。
 ワイドFMは10.7MHzの周波数で直        10.7MHzのディスクリミネーターは
接行われますので、10.7MHzのフィ        組立後に調整が必要になりますので、
ルタでフィルタリングされたIF信号        メイン基板に取り付けられています。
は、「DET B UNIT」 に加えられ、基       ワイドFMの時にもスケルチが必要
板上で2SC3770×2で増幅された後       になりますので、どこかからかスケル
TA7787に入力されます。                   チ信号を作成しなくてはなりません。
TA7787はラジカセ及びヘッドホン用        TA7787には、周波数がピッタリ合っ
に開発されたAM/FM受信ICで、駆動      たときに同調ランプを点灯させる信
電圧は3Vを標準としています。            号が出力されています。
またTA7787にはFM出力極性が逆の       この信号をスケルチとして利用して
TA8110があります。                         います。
 FM信号は16ピンに入力され、FM-IF
 
 
                                             ▲DET B UNIT 内部
 
 
 
 


トーンも通過する低周波増幅部
IC-R1の受信信号はモードによるスイッチ回路を通過して、内蔵スピーカ
ーをならすために低周波増幅されます。FMとAMは、「DET A UNIT」からメ
イン基板を通過して、一旦「DET B U-NIT」基板に入力され、W-FMの信号
のスイッチング回路を通過してから「AF UNIT」 入力されます。
「AF UNIT」に入った信号は、モニターーを押した時のスケルチをOFFする
ためと、CPUからブランクメモリー チャンネルを選んだときに音を止
める信号なども加えられており、スケルチと同様の回路で止めています。
 スイッチングされた信号は、メインユニットを通過してVRユニットの      
ボリュームコントロールをされて再度AFユニットに戻ってきます。           
そして、TA7368Fにの5ピンに到達しスピーカーを鳴らすだけの充分に増     
幅されます。                              
普通の無線機ですとこのICに入るまえには、フイルタがかけられ必要の     
 ない周波数成分は減らされてしまうのですが、IC-R1では、かんたんなロ
ーパスが入っているだけで、イヤホンジャックにかなり広い周波数成分
が出力されています。
そのためトーンのかかった信号などは直接通過してしまうのでブーンと
いう音までも聞こえてしまうのです。 ICR-1は録音のためのにLINEOUTが
装備されていますが、これはイヤホ ンジャックの信号を10KΩの抵抗で取
りだしただけのものです。

  ▼低周波増幅IC
 
 
 


REG UNIT
 IC-R1のすべての電気の供給を司るががこの「REG UNIT」です。     
内部はC-MOS構造の3端子レギュレーターS-81250HG-RDと、パワーセーブ
用のロジックが組まれています。
 電源として加えられVCCは「REG UN-IT」内部にある3端子レギュータで
安定化され、電流ブーストされています。               
 電源はPNPトランジスタの2SB798でコントロールされ+5Vの電圧とな    
って各ユニットに加えられます。
 この「REG UNIT」には、CPUからパワーセーブ用の信号が加わっていて、   
受信信号がなくなってしまった時に必要な箇所の電源をOFFしてしまうもの
 です。この信号は+5VSという名前が付いていて、電源ラインHVから直接スイッチ
するようになっています。


 
             ▲REG UNIT

IOユニット
 CPU からの制御信号を直接基板に渡すと何本もの配線を接続しなけれ
ばならないのですが、なんとかこの配線の数を減らす工夫が必要です。
 これを減らす方法として考えられたのがシリアル伝送です。
何ビットかの信号を送って使用する近くの部分で分解して使用するよう
にすると、接続するコードはCK(クロック)STOB(ストローブ)DATA(デー
タ)の3本で済みます。
 IC-R1に限らず、無線機には似たような回路が搭載されているようにな
っていますので、他社の製品でも同じ回路が採用されていることがあり
ますが、これはメーカーが他社をマネしたものではなく、コストダウン
と安定した製品化のために必要不可欠であったといえるでしょう。
CPUから 3本で送られた情報どこか元の信号に戻す必要があります、こ
の役割ことをシリアルパラレル変換(シリパラ変換)などやエキスパン  
ダなどということもあります。 
CPUからの送られた3本のデータは2つのC-MOS4094でシリパラ変換さ
れていています。
 1つ目の4094は AM/FM/W-FMモードの切り替えに3本使用され、FM W-
FM AMの信号を出力しているのと、2ndローカル発振周波数の256MHzの
周波数を最大4.5KHz上げるように4本のラダー抵抗に接続されています。
もうひとつの4094はフロントエンドに取り付けられた4つのフィルタの
どれを作動されるかの選択に4本使用されそれぞれにB1,B2,B3,B4と名
前が付けられていて、フィルタユニ ットに電源を加えています。
またCPUからはブランクチャンネ ルを選択してしまった時などは、音  
を停止させなければならない時など もありますので、CPUから「AF UNIT」を
 停止させる音声増幅停止機能として の制御信号、またパネルについてい
 たSQLOFF信号などで強制的にスケル チを開ける時の信号もここで変換さ
れ音声増幅回路へ接続されています。

▲1つめの4094の使われ方

▲2つ目の4094の使われ方
 



CPUユニット
 IC-R1のCPUは日立のHD404808A22HというICを使用しています。

■8192ワード×10ビットROM      ■1184デジット×4ビットRAM
■30本の入出力端子
■16桁のLCDドライバ
■タイマカウンタ内蔵                 ■サブルーチンスタック16レベル
■発振器内蔵(水晶:セラロック)    ■インストラクションサイクル 1μS
■ボルテージコンパレーター2本     ■パッケージ80P FP
■クロック同期式8ビットシリアルインターフェイス

CPUには入出力ポートとしてR0〜R3       ダイオードマトリクスを変更してい
までの4つのポートがあって、それぞ        くと、国内で販売されているJ付きの
れに4本の入出力ポートが装備され、      ものからダイオードを取りされば、
16本の入出力が可能です。                  Jなし化や、さらにダイオードを取
IC-R1ではそれぞれのポートにKey0〜    り外すことにより周波数によってモ
Key13という独自の名前を付けてい        ードとステップが自動に変更できる
ますので、ここでは、IC-R1の名前         オートモードや、アマチュアバンド
で表記することにします。                     しか受信できない”アマチュアバン
 キーボードの読み込みなどもこの        ド”マシンなどがプログラムされて
ポートを読み込むことによって入力        います。IC-R1はJ付きなどを含める
が行われますので、すべての入力信      と何機種かあってマトリクスの状態
号はポートから取り込まれるように        少しづつ異なっていますので代表的
なっています。                                  な物を紹介しておきます。    
 
 
 
 
 
 IC-R1のダイオードマトリクス
マトリクス上各スイッチには衝突防止のためにダイオードが装着されています図のなかでは省略しています。
 
 
 


IC-R1のオプション設定はD9とD10で行うようになっています。
D9/D10のなかにはそれぞれ2本のダイオードが入っています。このダイ
オードには、部品番号が振られていませんので、仮にD9とD10の内部に
A/Bの2つダイオードの組み合わせを作ってみました。
 
 

D9とD10の組み合わせによって
1) J付き/J無し                     これらの組み合わせの表にしたのが
2)オートモード/オートモードなし     下図になります。
3)アマチュアバンド専用マシン           これ以外の組み合わせもあるよう
4)オートモード国内/海外             ですが、発見していません。

 
│  │9-A│9-B│10-A│10-B│             │
│8│     │     │       │ ○   │ 国内Jなし   │
│4│     │     │ ○   │      │国内J付き   │
│2│     │ ○ │       │      │国内改造A   │*オートモード海外
│3│○  │ ○ │       │      │国内改造B   │*オートモード国内
│C        │     │ ○   │ ○  │アマチュア専用    │
│  │             │        │      │             │
 ▲  D9/D10の組み合わせ
 
 

  =アマチュア専用機=                   = J付き =
                          │                     0.1MHz〜252.9MHz
    13.95MHz〜 14.50MHz                 255.1MHz〜261.9MHz
       28MHz〜 29.7MHz                  266.1MHz〜270.0MHz
      144MHz〜   146MHz                  275.1MHz〜379.9MHz
       430MHz〜   440MHz                 382.1MHz〜411.9MHz
     1246MHz〜  1300MHz                 415.1MHz〜809.9MHz
                                                    960.1MHz 〜1300MHz    │
 
     ▲アマチュアバンド専用機にして        ▲J付きにより電話の周波数が
  しまった時に得られる周波数                    聞こえなくなった周波数
 
 
 
 
 

 
 

 オートモードには2種類あるぞ         
打ち込んだ周波数によってモードとチャンネルステップが自動的に変化
するオートモードが隠し機能として存在します。このモードをダイオー
ドマトリクスで選択するとディスプ イの右上に「AUTO」の文字が
現れ、オートモードが作動していることを知らせます。
 IC-R1には国内のものと輸出向けの設定がマトリクスで選べるように
なっていますので、このオートモー も国内向けと海外向けの2種類が
 存在するようです。
 IC-R1は設定が変わると自分自身でリセットをかけますので、特別にリ
セット作業は不要です。
 

■国内向けのオートモード    D9-Aを外すと国内仕様になります。

     選択周波数                    モード      ステップ             
    100KHz 〜  1.629MHz             AM         9KHz           
 1.630 MHz〜  29.000MHz             AM         5KHz          
 29.0005MHz〜  76.000MHz             FM         5KHz          
 76.0005MHz〜 108.000MHz            W-FM      50KHz
 108.0005MHz〜 137.000MHz            AM        25KHz
 137.0005MHz〜 170.000MHz            FM         5KHz
 170.0005MHz〜 255.000MHz            W-FM      50KHz
 255.0005MHz〜 470.000MHz            FM         5KHz
 470.0005MHz〜 770.000MHz            W-FM      50KHz
 770.0005MHz〜1000.000MHz         FM      12.5KHz
1000.0005MHz〜1300.000MHz          FM        10KHz
 

■海外向けのオートモード      D9-Aを付けると海外になります。
 
     選択周波数                     モード      ステップ
    100KHz 〜  1.629MHz             FM         9KHz
  1.630 MHz〜  29.000MHz             FM        50KHz
  29.0005MHz〜  76.000MHz            FM         5KHz
  76.0005MHz〜 108.000MHz            FM       0.5KHz
 108.0005MHz〜 137.000MHz            FM        25KHz
 137.0005MHz〜 170.000MHz            FM        20KHz
 170.0005MHz〜 255.000MHz            FM        50KHz
 255.0005MHz〜 470.000MHz            FM      12.5KHz
 470.0005MHz〜 770.000MHz            FM        50KHz
 770.0005MHz〜1000.000MHz          FM        25KHz
1000.0005MHz〜1300.000MHz           FM        10KHz
 

 
 

■IC-R1に出現するにイメージ周波数一覧
スーパー方式の受信機ではイメージ      ットされるのであまり気になりませ
周波数での誤った受信をすることが      んが、10.7MHzの逆ヘテロダインの
あります。                                         周波数が強烈なイメージとなって現
ところがIC-R1では1stIFの周波数は      れてきますので、注意が必要です。
明示されていません。                          同じく,1stIFの±266.7MHzの周波数
そこで初公開です。                              もかなり強烈にイメージとなります
┌─────────────┐        ので、イメージ受信には充分に注意
│1st IF周波数   266.7MHz     │       が必要です。
│2nd IF周波数    10.7MHz     │       また、LOユニットからミキサに加
│3rd IF周波数     455KHZ     │       えられている256MHzの信号もかなり
└─────────────┘        のレベルがありますので、かなりス
455KHzのIFにはフィルタで強烈にカ        プリアスが確認できます。
 
************************************
 

■イメージ受信と間違われるのが、局発を持つことによって受信される無変調です。
確実に受信される無変調一覧です。
 
 

│ 局発                               85.333MHz
│ 局発の2倍            170.666MHZ
│ 局発の3倍  ローカル周波数          256MHz 
│ 局発の4倍            213.332MHz 弱い
│ 局発の5倍            426.665MHz
│ 局発の6倍            511.998MHz
│ 局発の7倍            597.331MHz
│ 局発の8倍            426.664MHZ 中
│ 局発の10倍           853.333MHz 弱い
│ 局発の11倍                        938.663MHz
│ 局発の12倍           1023.996MHz 弱い 
│ ローカル信号の2倍             512MHz
│ ローカル信号の4倍            1024MHZ  弱い
│ ローカル信号の5倍          1280MHz  極弱
│ ナローFMを受信する時の3rdIF    10.245MHz
│ 3 rdIFの3倍                  30.735MHz
│ 3rdIFの5倍                               51.225MHz
│ 他            IF周波数の256MHZ近辺など

 

 
 


IC-R1のロットNOの読み方
IC-R1のロットのは、無線機背面にある製造ナンバーシールと、ロジッ
クユニットにある、リチウム電池のNOから推測が可能です。
無線機の背面にある製造ナンバーはロットNO+4桁の連番となってい
るようです。また、リチウム電池にあるNOは、#1から始まっており、大
幅な改変があると1つづつ番号が増 えるようです。
 例では 第10ロッ  ト、3695台目

 
 
 
 
 

 
IC-R1は、発売が89年の12月です。この究極のマニュアルは94年の6月
に作成されていますので、すでに4年半の発売実績がある機械です。
 この4年半の間には、各ユニットも何回か変更になっていて、初期ロット
に気になったスプリアスも減らされています。
 ここ1年ほどのは基板や内部に変更がないことを考えると、IC-R1はと
りあえずこれで、完成をした状態になったいると考えられます。
 まもなく発売されるであろうIC−R2に期待しましょう。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
無断転載無断利用お断り
 
 1999年5月25日加筆訂正
 
 
 

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                         無断コピー引用厳禁
                    製作ソフト:一太郎VER4.3+花子2.2
              IC−R1 究極のマニュアル VER1.0
             亀の子ハムクラブ 東京すわん 1994−6−9
    発売 160東京都新宿区西新宿7-3-10山京ビル503テレビパラダイス<新宿店>
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