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2011年3月 久しぶりにやってきたLS-102(ノーマル)です. LSは色々面倒なので受けたくないのですが 人間で言えば どこの病院に行っても断られてしまったということかもしれません そういうことなら、話は別です このまま亡きモノになってしまうのはあまりにもかわいそうです。私のところで原因が分かり、延命ができるなら喜んでお手伝いしましょう。東京すわん
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LS到着! 預かったLSは、送受信不能ということで、世間的には死亡状態です。 LSはカスタム部品を利用していないので、今でも回路のほとんどを修理することが可能です しかし、逆からみればカスタムICがなく汎用部品の寄せ集めで作っているわけですから、高周増幅 ミキサー PLL回路など広範囲の知識がないと直すのが難しい機械とも言えるのです。
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LS-102とSAー28シリーズの共通トラブル 共通トラブルはなんといってもスルーホールの不良です。 スルーホールというのは両面基板の表面と裏面を接続している部分のことです 通常両面基板というものは先に穴あけ加工をして両面をメッキすることにより導通させます しかしLSやSAにに使われている基板は両面基板ではあるのですがこのメッキ加工が行われておらず 組み立て時にピンを差し込み半田してあるだけなのです じつはこれがクセ者で、半田されているようには見えますが内部でハンダがはがれてきており導通がなくなってしまうのです これを回復させるには再度ハンダし直せばいいのですが、問題はその場所を特定です。 一番やっかいなのは、発見をするべく基板を押しているとそのうち導通が復活してしまい、「なんかいじっているうちに直った」となってしまった時で こうなると全部のスルーホールを打ち直すなどの対処療法が必須になります 無線機に限らず電気製品の故障はどこかの部品が一つ壊れてしまうということが多いのですが 、LSやSAシリーズの場合はスルーホールに対し何か別の故障がプラスされるという例が多くあります。
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修理開始
まず状況を確認するために電源を投入しますが いきなり電源を入れて 煙がモクモクと立ち上がってくるとも限りません。 今回のLSも外観をみるとかなり使いこまれた印象を受けますので内部をみながら電源入れることにしました ケースを外そうとしたとき・・・ 「あれっつ ねじがない!」 当然ケースをあけるわけですからネジを外しますよ。かといって、最初からネジがないとびっくりします。 上側ケースをあけるとおなじみロジックユニットです 特に問題なさそうなので電源ON ん? 音がでない・・・ ボリュームあげてもプチともいいません
これはヤバイです。音声増幅ICがやられていると 直りません。 こりゃ本格的にダメかも。 と考え下フタを見ると スピーカーも外されているじゃーあーりませんか・・
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内部を見るときはスピーカーを外さなくてはならないのですが、最初から抜かれているとこんな感じでびっくりします。 あちこち行ったんだろうなあこのLS・・ 外部スピーカーを取り付け、電源を入れるととりあえず全モードで受信音は出てくることが確認できます。 ということはAFユニットやIFユニットは正常だということです。 次にAMモードで送信をしてみますが、パワーメーターは振れませんし、周波数カウンタも動きません 受信周波数を合わせてSGから信号を入れてみても受信もしません なるほどたしかに送信も受信もしませんな。
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故障個所探索
最初に行うのはPLLがちゃんと動いているかを確認しましょう。 LS-102は送受信周波数より7.8MHz高い周波数が出てきます たとえば27.300MHzの場合 35.100MHzがPLLユニットで作り出される周波数です オシロスコープで確認するとちゃんと 35.100MHzが出力されており、VFOダイヤルによって変化する周波数が見られます ということはPLL回路も正常ということです。 PLLが正常ってだけでかなり安心 ではなんだろうかとばかりに送信しながら 周波数がつくられてファイナルユニットへと信号がわたる部分に直接オシロスコープを充てても28MHzの信号が得られません。 いよいよスルーホールを疑わなくてはならないところに来たといえるでしょう。そのためには ロジックユニットを持ち上げなくてはなりません ユニットを止めているねじをみると・・・ あれ ネジがない・・ いや そうなんですよ このネジも外さなくてはならないのですが 最初からないのもどうかと思います。 なんかしたらネジも元の場所に戻しましょう・ あるものがないとしっくりきません
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PLLユニット
高周波基板の裏を見るためにはロジックユニットを持ち上げないとなりません。ロジックユニットを持ち上げてびっくり・・
うおおおおっつ!!!
スルーホールの部分がすべて緑色のラッピングワイヤーで補強されています うちにあるSAもそうですが この修理方法。何回も見ています |
確かにこれから先に発生するであろうスルーホール不良もなくなりますが、これだけの数 補修済みSAとかLSをみると この配線をした人は何十台も修理しているんだろうなあと・・感心です しかし、1つの機械にこれだけの数のジャンプをするのは根性以外の何モノでもありません。 私は根性なしなので意地でもスルーホール不良を見つけてフラックスを入れて再ハンダします さて、それでは局発から見てみましょうか LSは各場所にTP(テストポイント)がありますのでチェックするのは容易です
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まずキャリア発振の7.8MHzが AM 時 7.800にな この部分はLS-102LになってからLSB用の回路が追加になっています ここはだいじょうぶだなぁ ←心の声 ということは次の回路だ 次の回路はDBMであるμPC1073へ入力され、PLLでつくられた34MHzの周波数と混ぜ合わされて28MHzの信号をつくります ・・あれれれれ μPC1037出力がないぞっ・・・・・ DBMなんて壊れないはずだから 電源が来てないんだなと思ってTB(送信時ON)信号を確認しても問題なし DBMが壊れているとちょっと厄介だなあ |
旧無線機を修理する場合
電解コンデンサがドライアップしてしまうことがあります。ドライアップなんかカッコいい言葉ですが内部の電解液が蒸発してしまい定格の容量が得られなくなってしまった状態です。 どうせ不良になるなら、予防の意味で総数を交換する人もいますが、オリジナルを損なうことになりますので あまりするべきではありません そもそも電源のバイパスやカップリング部などは容量が1/10程度になっても十分に作動します SAやLSに使われているフィルムコンデンサーはエンジ色や緑色をしています。これはフィルム状にまかれたものを固定してるものですが経年により モールド部分がひび割れてきます。この状態でも容量は維持している場合が多いので、必要なければそのままにしますがモールドが割れた状態で力を加えるとフィルム部に傷がついてしまいます。 そうなったら残念ですが交換します 30年前の0.1μFとを現代の0.1μFを比べるとその小ささにびっくりします |
局発レベルを測定してみましょう。送信データーは局発→DBM→フイルター→IFアンプ→キーイング→DBMでPLLと混合とつづきます IFアンプを追っていくと7.8MHzのフィルターを通過してQ101を通過しますが このトランジスタをみると信号レベルが10mVP-p 出力も10mVしかありません 確認のために出力回路のカップリングコンデンサを外して確認しても10mvしかありません どうもこのトランジスタがおかしいようです 取り外して測定したのですが テスターでは正常に見えるのです、ところが増幅しないって どんな壊れ方なんでしょうか? このトランジスタを交換するとパワーが復活しました
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受信しない 今度は受信しない原因を探ります IFユニットは正常なのであとは受信しない原因を探りますが、どうもなんか様子がおかしいです 受信していると時たま受信できることがあるのです これはキャリアがうまくは発振してないのかもと思って みるとなんかVCOの発振周波数が小刻みに揺れています。まさかと思って確認すると送信周波数も小刻みに揺れています 大丈夫だと思っていたPLLユニットも何かおかしい?とおもってひっくり返してみるとぴたっつと症状が収まります ほう これはおなじみのスルーホール不良ですな しかしこのLSはすべてのスルーホールがジャンプされているはず。それなのになぜスルーホール不良のような症状がでるのでしょう? それもロジックユニットを持ち上げた時にのみ発症するようです。ということは再現性があるということです そこで動きに関係ありそうな部分をさがしていくと ありました!ここです LSのバンドスイッチは28MHzポジションと29MHzポジションの2接点です。このLSは26MHzと27Mhzに切り替えられるようにSENDスイッチを利用しています 。そのときに行った改造でバンド切り替えを伸ばしています その配線をしたときに配線束を持ち上げて それをしまう時にケーブルを挟んでしまったのでしょう。それがたまたま直流を重畳している配線だったので 持ち上げるとショートし受信しなくなったのでしょう 再現のためにショートさせると受信しなくなります 故障原因は2カ所 発見されました。これでしばらくLSも大丈夫でしょう。 ロジックユニットのネジを締め、フタのネジを締めて終了です。 スルーホール修理は ラッピングは大変ですのでフラックスで修理しましょう LSのスルーホールは0.5mm程度の配線を入れて両方から半田されています これはピンのような経常をしていますので なれるとスルーホールピンだと見分けがつきます
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