←私の固定です。ここで作業中

SA2800を直そう

SA-28系の無線機は、いろいろな壊れ方をします。しかしその原因のほとんどがスルホールの不良といえます。スルホールというのは基板の表面と裏面を接続するもので、今の基板では、メッキで作られているのですが、SA-28が作られた当時にスルホールメッキは高価であり、SA-28ではスルホールの部分にメッキー線を差し込んでハンダされています。このメッキ線のメッキがはがれ、一見ちゃんとハンダされているように見えるにも関わらず電気が流れないというものです。これはもう一度ハンダし直せば直るのですが、なにせ外観から判断できないので、症状からどのスルホールが抜けているかを確認しなくてはなりません。

今回は、私のところに修理にきたSA-2800を撮影しましたので、ご紹介します。

 

 

まず最初の作業はスピーカーをはずすことです。スピーカーをはずさないで作業をするとスピーカーの端子に無理な力がくわわり、端子の部分がポキッと折れてしまいます。

まずSAのフタを開けますが、後ネジ4本とスピーカー止めのネジをはずしてカバーをはずします。つぎにスピーカーを止めているネジ2本をはずして、スピーカーをとりはずします。ここのときスピーカーがハンダされていますが作業のジャマになりますので、必ずハンダで取り外します。この手順は重要です。

外部スピーカーダミーロードを接続して、電源を投入です。

できれば電源に電流計を接続して、余分な電流が流れていないかを確認してしてください。SAの無信号時の消費電流は約600mAです。

 

チャンネル表示は正常か? 1から80までチェック!セグメント欠けなどチェック
RXランプの点灯確認 これがついていないとRX-Bが出ていないことになる
CH.onの確認 スイッチを切り替えてPAが使えるかどうか?
PTTが効くかどうか? カチンカチン言えばとりあえずOK

セグメントが出ないというトラブルも結構多いようです。7セグドライバーからのフィルムパターンの剥離が原因です。フィルムパターンも製造から20年も経過すると、パターンの接着剤がダメになって、剥離するのです。これの修復をするためにパターンを削って、再ハンダもいいのですが、いずれは同じ症状になってしまいますので、パターンを追いかけ、コードでジャンプしてしまうようにしたほうがスマートでしょう。

ちなみに7セグメントLEDの不良というのも考えられますが、実はその手前の抵抗アレイが壊れていることも多いです。

 

←これ交換用のSA-28 7セグメント。買い占めました!(笑)

この段階でSSBの受信音などが出ないなどの場合は例のスルホールの不良が考えられます。

 

 

今回のsa-2800がかつぎ込まれた時は、

1)1から16chまでは正常だが、17chー80chが出ない

2))スケルチを閉じると大きな雑音が(スケルチの意味なし)

3)パワーが1wくらいしか出ない

という現象が発見できました。

まず最初カンタンなにファイナルトランジスタあたりからチェックをしていきます。SA−28のファイナルは写真のようにシールド板で覆われています。これを取り外さないとチェックはできません。ちなみに今回は1w電力が出ているとこからファイナルではなさそうですが、バイアスチェックのためにはずして測定しました。

 

SA-28のファイナルとドライブはAM変調を加えるためにVCCが直接接続されておらず、AM選択時は6v。SSBで12vの電圧が加わります。

そのため過電圧供給などによって壊れるのは、手前以前のドライブトランジスタが多いようです。

ちなみにドライブトランジスタが飛ぶと、送信電力が0.5wー1.5wくらいになるという特徴がありますの。

今回もこの2SC1449が壊れていました。

次に

送信電力を測定してみるとどうやってもパワーが4w以上でません、あれれれ。おかしいなあ、と思ってTX−B(送信時9v)を見ると8vしかありません、。これは電源かなあと思ってみると9Vの安定化電源の部分がなんと3端子レギュレータに交換されており、周辺の部品がごっそりとなくなっています。

ありゃー。

じつはこの部分10vのツエナーでつくられており、この電圧は直接ファイナルのバイアスなどに使われているので、ほんの少し変化しただけで、定格電力が出なくなります。今回はなんと1v近く差があるので、パワーが少ないのですねー。たまたま交換した7809の電圧が低く出たために送信のパワーが出なかったということになります。手持ちにオリジナルの2SC1014と10vツエナーがありますので、交換してオリジナルに戻しました。

 

つぎにSQを閉じると雑音が出るというトラブルを探します。

SQ回路はAM/SSB共通でありQ401からQ404まで作っています、スケルチがかからないのであるわけですから、Q404が動いていないといことになります。しかし、中途に壊れることがない回路でしょうから、ねらう部分は、Q401−Q404へと向う電源回路にトラブルがあるとかんがえられるでしょう、

Q401−404へのつながる配線オシロで見るとたしかにめちゃめちゃな波形が出ます。

それをずーっと追っていくrと、ここ、IFユニットの近くのスルホールにたどり着きました。写真では見にくいですね。この部分のスルホール抜けでした。

 

ワンポイント

SA-28に限らず古い無線機を修理すると、基板面にウッスラと油みたいなものがついていることがあります、lこれは基板に付着したフラックス(ヤニ)なので、見た目にもきたないですし、ショートなどの目視障害になります。シンナーなどでふき取ってハンダしてください。また、新しくハンダすると同じくフラックスがブチュブチュと出てきますの、ハンダが終わったらやはりふき取るとキレイですよ。

 

さて、問題の1chから16chまでokでそこから先がどこかに行ってしまうというトラブルをみましょう。

16chと17chの間には129分周と131分周する切り替え点にあたります。つまり320khCの移動ができないということになります。最初は16chまでしかVCOロックをしないのかと思ったのですが、どうもそうではなさそうです。

まず、チャンネルをまわしながら信号をテスタで見ると、320khZの信号が出ない。これPLL14526の不良しか考えられないとばかりにPLLユニットをひっくり返し見てみたのですが、17chになるといきなり320kHzを出すための6ビット目の信号が出ていないです、。し

 

BCDコードが順番に出ているわけですから、面倒なので4568と4526を両方交換してみました。

ところが、症状がかわりません!!おやーっつ?

 

もう1回じーっと見ると、あれーっつ? BCDコードD6の32upの信号がでているにもにも関わらず周波数が変わらない(実際はどこかでちゃんと電波がでている)

 

SAで1番ヤバイ部品であるM58476のD6が出ていない!ではないですか?こりゃーまずいです。いちおうピンの部分を全部うかせて、チェックするものD6の出力がないのです。あら−・・・

そこで、秘蔵のM58476を交換することにしました。

やはりM58746の不良です。バイナリーデータのD6が出ないので16ch以降のチャンネルがみんな320KHz高くなってしまっていたのですな・・っふう。

よかったよかった。

これで、とりあえず問題のトラブルはおさえたのですが、SAの場合は、経年変化によって、調整がずれてきます。今回の見てみるとSSBのパワーが15wも出ています。フルキャリアで12wになるようにVR302に調整をします。また周波数の調整も必要をします。

これでとりあえず現状復帰!!

 

今回交換した部品

ファイナルトランジスタ

ドライブトランジスタ

 TA7809→3端子レギュレータ (バイパスコンデンサー)

M−58476(泣)

 

 

こうやって現状に復帰させましたが、オールトランジスタの無線機は必ず直ります。逆に言えばヘタのプログラムの載った無線機は、その素子が壊れると素子のみならずプログラムを入れ直さないと修復が難しいのものです。そう考えると、この時代の無線機はおおらかだったと思います。

2003 3/31 東京すわん

 

 

 

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