SA-28 究極のマニュアル

SAー28の登場の背景


 

 

SAー28はFCC規格に合わせて、日本電業株式会社がアメリカの無線会社であるSBE(サイドバンドエンジニア 社:カルフォルニア州、南サンフランシスコ市 社長 Faust Gonset  (W6VR))から OEMを受けて製作した40チャンネルのCBトランシーバーです。 このトランシーバーが国内に流れ初めたのが1977年のことです。 国内では23チャンネルの無線機が
全盛の時期でSA-28は完成度の高いCB無線機としてデビューするはずだったのですが、実際は不幸な登場の仕方をしました。                 


SA-28はあくまでの輸出向けのCB無線機であって、そのまま国内で販売すれば違法CB無線機となります。折しも国内では違法無線としてCB無線が社会問題になっていた時期なので、販売自体も、当局から目をつけられてしまう可能性が非常に高いと考えられていました。   そこで、SA-28というCB無線機に最初に目を付けた販売店では、SA-28を28MHzのアマチユアバンド用の機械として販売することをもくろんだのです。これはみなさんよくご存知の販売店です。

 

 

  その販売店では、オリジナルのCBの状態ではまずいので、28MHZ用として改造したものを売り出すように、メーカーに申しいれたのです。SA-28のPLLは、教科書的なPLLなため、PLLユニットで作り出す19MHzのローカル信号を逆ヘテロして、28MHz信号を作り出すのは容易だったのです。

10mに改造されたSA-28はアマチュア無線機として、販売されたのですが、ローカル周波数を逆方向にしてしまったので、表示の1チャンネルが周波数が1番高く、チャンネルを上げるにしたがって周波数が下がるうえ、間チャンネルもそのままというおかしな構成をとっていました。こんなもんつかって10mにオンエアする局なんていません。

 

▼10m改造されたSA-28の周波数(一部)
ch1 28.630MHz ch5 28.580MHz ch9 28.530MHz    
ch2 28.620MHz ch6 28.570MHz ch10 28.520MHz    
ch3 28.610MHz CH7 28.560MHz ch11 28.510MHz    
CH4 28.590MHz CH8 28.540MHz ch12 28.490MHz    

10mは局数も少なく、それほど販売台数が稼げるものではありません。
    それよりかSA-28に目をつけたCBerたちは、10mに改造された機械を元の状態に戻して
CBバンドで使用をし始めたのです。改造はPLLユニットの再調整のみです。

もちろん。 10mで売るよりもオリジナルのCB状態で売ったほうがはるかに売れるということが気がつ
いた販売店はすぐにCBで使用できるオリジナル無線機 を販売するようになりました。
(当時7万円程度の価格がついていた)
 

このころはAMに出られる無線機の需要が圧倒的に多く、わざわざ聞き難いSSBにオンエアしてくる局は、少なかったものです。
 また、先進的なCBマニア達がAMの排他的な運用を避けるためにSSBに移動を始めた時期とも一致します。
 CBバンド内は基本的に10KHzステップで運用されていますので、AMと同じ周波数でSSBを使用すると混信になります。

”AMと混信にならずにキリのよい周波数”とし注目されたのが27.3000MHzなのです。
 当時、SSBでオンエアしているということは、FT101やFT901系などのアマチュア無線機を改造してCBに出てくるしかありませんでしたので、車でのSSB運用はかなり大掛かりになってしまいます。

SA-28が登場し、比較的カンタンにモービルSSB運用ができるようになったのは、当時のSSBerにとっては画期的なことだったに違いありません。

ほかにもSSBを出せる無線機は、いくつか存在し、スクーパ9000やXssb-10などがあったのですが、周波数がAMと同じしか設定できないため、混信になってしまったのです。-5KHzという機能があったために27.300MHzなどにカンタンに移動できるということも大きな特長であったのかもしれません。



 

SA−28の欠点

 
 SSB無線機としてはすばらしい性能を出すSA-28でも実は問題がないわけではありません。
チャンネルを変更する時などは、送信の周波数は固定で自由に動かせないのです。
               
CBはラウンドQSOになる場合が多く3局4局とラウンドが大きくなった時に送信の周波数が各自に
少しづつズレているです。そのため受信時にはクラリファイアから手を離せません。
 送信の周波数が動かせないSA-28の使用局のラウンドは誰がどの周波数に合わせたらよいか
わかりにくく最後には「はーい私に合わせてくださーい」などといって1局に合わせ、それから
クラリファイアで追っかけるという芸当が必要になったものです。

後述しますが、出荷されたSA-28はクラリファイアで送信受信とも周波数を可変することができるものが、多くあります。
 

またもう1つはクラリファイアのリニアリティが悪いというのもあります。
センタをちょうど0(ゼロ)として左にいっぱい回してー5KHz(2.5KHz)
右にいっぱい回して+5KHz(2,5KHz)すれば
CBバンドがフルカバーになるはずなのですが、ほとんどのSAで
ー(マイナス)側が-4KHzしか下がりません。
結果的にCBバンドでフルカバーはできないのです。
 
 


 

 

 

 

 

 

 

 
 

SA−28のバージョンチェック
 

SAー28にはたくさんの種類があります。
といっても基本はSAー28で、それにオプションをつける改造をしただけのものです。ただし、細かい場所の手直しは各所に見られますので、故障診断の時は注意してください。


original SAー28



SAー28は販売台数が重なるにしたがってたくさんのバージョンが生産
されていましたが、基本の40チャンネルを改造し新バージョンとしたも
のですので、基本となるSA-28をチェックしておくことにしましょう。
 基本の回路はまったく同じですのでSAー28を完全に把握すれば、
他の無線機はほぼ同じようにあつかえます。

SAー28オリジナルには、マイクから入った音声を圧縮するコンプレッ
サーユニットがありSSBとしてはトークパワーのあるものでした。ところ

が80chに改造されてしまってから、コンプレッサーは取り外されてしまいました。
SA−2800  


CB界では80チャンネル無線機があたりまえになった時に、SA-28にも80
チャンネル化が必要になりました。
 ところがSA-28のPLLでは、分周比は充分にあるのですが、そのまま80
チャンネル化することができません。そこで、80ch対応として内部に局
発の基板をもうけて80チャンネルを合成して作りだすことになります。
 もっとも80チャンネルというチャンネルを許された国はどこにもなく、
世界中どこにいっても違法無線機ということになります。
 チャンネルが増えたSAー28はSAー2800という名前になり、パネルもそれま
での銀を基調にしたものから黒マスクの渋目のものとなりました。
 それでもパネルまでかえての改修 にはそれだけの利益を生む何かがあ
 ったにちがいありません。
 SAー2800のすごいところは40チャン ネルの無線機に単純にHIーLOWの切替
 えをつけたのではなく表示までも41 〜80を表示するようになっていました
  このため内部には、局部発振のた めの基板と、1〜40を41〜80に変化
 するコンバート基板が取り付けられ ています。  

 
SAー280DX


  市場のニーズが80チャンネルか ら120チャンネルになるとともに激
 化するハイパワーブームでSAー28は 40チャンネルの下にもう40チャンネ
 ルが生まれました。いわゆる地下チ ャンネルです。
  地下チャンネルを出すために局発 の基板がもう1つ付けられています。
  SAー280はお二階をつけた時には1〜 80チャンネルに表示が変わったので
 すが、地下になる時は、表示までの 変化はみせず地下チャンネルの場合
 は1〜40のままで変化しません。  ハイパワー化への対応として、筐
 体の後ろにアルミでアングルをつく りパワーアンプが乗せられました。
  これで40W程度の出力をしぼりだす のです。  この時の名前はSAー280DXという名 前になりました。
  AMCBerには出力の点で好まれた ようですが、パワーを稼いだために
 過負荷には弱く、ファイナルが飛ぶ ことが多いようです。
 SA-280DXを使用する時はSWRには要チ ェックです。
SA−280XU
120CH化、ハイパワーなどが進んだ機械・

 

 



 回路の説明
SA-28の完成度の高さは、1994年の今でも充分に使用することができる
レベルにあると言えるでしょう。
 CBバンドは年々衰退をしているようですが、SA-28に修理不能はあり
ません。押入に入ってしまったSA-28があればこの機会に修理調整
をしてあげてください。きっとよろこんで懐かしい27MHzの音を奏でて
くれるはずです。

ケースの開け方
SA-28のケースは、フタにある上下のネジと後面のネジそして、スピー
カーを固定しているネジを2つ外すことによって外すことができます。
 ケースは筒状をしていて、後ろ方向にスライドさせて取外しします。
 ケース外すと、こんどはスピーカーユニットがじゃまになりますので、
シャーシーに固定されているネジを本を緩めるとスピーカーが金具ごと
外れます。
 スピーカーをはコードでハンダされていますので、そのまま作業をす
ると断線したりしますので、作業前にはハンダこてであらかじめ取外し
ておきましょう。
 

 

PLLユニット
 SAー28のケースを開けて内部をみるとシールドケースが2つあるのが確
認できるでしょう。小さなほうがRFユニット大きな方が、PLLユニット
が格納されています。
 このPLLユニットでは19MHz台の信号を使用してSA-28は27MHzを送受信
します。
 すべての源になる基準周波数は10.000MHzの水晶を基本波で発振させて得ています。
この信号は逓倍されミキサーに加えられるのと同時に、分周されリファレンス信号となります。

 


 
 
 
 
 
 

△本体の下側から見た写真



 内部 配置図
 
 

SA−28送信回路

教科書的な7.8MHzIFの優等生な回路



SSB送信回路
 マイクからから入力された信号は Q702,3で増幅されIC701(DBM)に加え
られます。IC701には局発回路で作成された7.8015MHzの信号が加わって
いて、7.8015MHzの信号に平衡変調が掛けられます。
 LSBとAMの場合は、7.8015MHzの水晶にコイルが直列に挿入され周波数をわ
ずかに下げることによって7.7985MHzの信号を無理矢理作り出しています。
 作成されたDSB(ダブルサイドバンド) の信号はICの5ピンから引き出され、
受信と共用の7.8MHzのフィルタを通過します。
 この時必要ではない側波帯がきりとられDSBはSSB波になります。
できあがったSSB波はQ201(2SC710)で増幅されます。
  Q505でPLL回路の19MHzの局発信号と混合され、27MHzの信号に変換さ
 れ増幅されます。

AMの送信回路
マイクから入力された信号はQ701(2SK40)で増幅され、低周波増幅回      
路に向かいます。                     
 低周波増幅回路では、さらにQ601(2SD187)とIC601(HA1339)で増幅され    
Q602(2SD1061)のベースに加えられます。                               
 このトランジスタのエミッタはドライバーとファナイルのコレクタに     
接続されていて、終段のコレクタに変調を掛けています。

 
 
 
 


AM-ALC
 27MHzになった送信電波と、音声増幅回路の信号を検波して、この信
号をALCとしてマイクアンプに返 しています。
 マイクアンプにはFETが使用されていて、ソースドレイン間のインピ
ーダンスを制御することにより、
FETがAFーATTとして働き過変調を防止しています。

電力増幅回路
 SSBの電波もAMの電波も19MHzの信号と混合され、27MHzの電波になり
ます。
 Q503(2SC1449)はストレートで増幅します。
 Q502(2SC1306or2SC2146)はドライバーでファイナルQ5018(2SC1969)に
はAMの時に変調が加わります。
 増幅された出力は3段のローパスフィルタと通過して、アンテナから
送信されます。
 
 
 
 

△SA28DX2のファイナル部


受信回路
シンプルな受信回路だが、しっかりできています。
もちろん今でも通用します。


アンテナ端子に加えられた27MHzの信号はQ101(3SK41)で高周波増幅さ
れます。
 増幅された27MHzの電波はPLLユニットからの19MHz台の信号と混合され、
7.8MHzの中間周波数に変換され、Q102(2SK41F)でさらに増幅され、I
Fフィルタで不要な信号をバッサリ 落とされます。
 7.8MHzになったSSB信号は7.8MHzのキャリアを注入し、プロダクト検
波され、低周波増幅部へ加えられます。
 


 
 
 

NB回路
 自動車などのパルス性の信号は27MHzだけには限らず20MHZから
30MHzあたりまで一様に含まれています。そこで、受信には直接関係の
ない23MHz付近を別の受信回路で受信させ、パルス性の信号がきた時に
はQ103(2SC710)をONすることで、雑音を吸収させます。
 一部ブースターの使用局などで23MHz付近にスプリアスをバラまく
局や、送信局が非常に近い時は23MHz付近にも電波が受信されるこ
とになり混変調ににたようになりますので、このような場合は、NBを
OFFにするように、Q302(2SC710) Q303(2SC710)NBキラーの回路が付
いています。

トラブル
道路上でCBどうしがすれ違う時に相手の受信の初段を壊すことがあり
ます。壊すといっても数百Wで普通にすれ違うだけでは飛ぶ事はないで
しょう。
  相手が数KWの電力を出していてこちらが壊されそうな時はこちらか
も送信してやれば壊されることはなくなります。
  SA-28ではデュアルゲートの3SK41を使用していますが、もし不良にな
った場合は、3SK59なども代用ができます。
  また、FETが飛んだ場合FETの(G1ゲート1)についているクランプダ
イオードも飛んでしまっている可能性もありますので、同時にチェック
する必要があります。  同じダイオードがなければ1S1588
などで代用することができます。

チャンネル設定
     SA-28のチャンネルはICで作っています。そのため電源を切る
        と1チャンネルに戻ってしまいます。そのカラクリ



チャンネルの設定はロータリーエンコーダーの出力をICでカウントしま
す。SA-28で多いトラブルにチャンネルアップはするがダウンはしない
というようなものがあります。
 ほとんどはスルーホールの断線といったトラブルなのですが、チャン
ネルに使用されているエンコーダーとC-MOS4011で作成されたF/F(フリ
ップフロップ)の都合によっておこることも多いようです。
 この回路は、ロータリーエンコーダで作成されたUP信号とDOWN信号は、
CK(クロック)信号とともに出力さ れてきますので、この信号をF/Fで
固定させて、コントロールICに加えなるために組まれています。
 この回路にある C814と C815がなぜか不良になることが多いようです。
DOWNしかしなくなったら、とりあえずこのコンデンサーを交換してみま
しょう。

SCAN
 SA-28のスキャンもマイナーチェンジが繰り返されるうちになくなっ
てしまったのですが、スケルチがひらくとスキャンを停止するビジース
キャンが装備されていました。
 スケルチを深めにかけてSCANボタンを押すとスキャンを初め、信号が
入ってくると、スキャンが停止されるのです。
 スキャン停止の信号はスケルチQ403(2SC710)からひきだされ、Q806
(2SC710)をONにすることによってOFFスイッチが押された状態を作り
出すのです。

クラリファイア


SA-28で問題になるのがクラリファイアの問題です。


 普通クラリライアは、受信のみ作動するもので、送信周波数は固定されているのが普通です。

ところが、実際にSA-28をみてみると、送信周波数も同時に動いてしまいクライリファイアではなくVXOにような動きをします。もともとSA-28の周波数調整は、送信と受信で別々におこなえるようにVR801(クラリファイアVR)とVR802(基板上にある半固定抵抗)があるのですが、ほとんどのSA-28は、リレーのK4端子のNcとNOをハンダでショートされており、送信も受信もVR802で可変されてしまうのです。

このときVR802の端子2番はパターンカットされています。


 


 
 
 
 
 
 

付属回路                       

             


バックアップ電源回路                 
 SA-28はICでチャンネルをメモリー していますので、電源を外してしま     
うと1チャンネルに戻ってしまいますところが電源スイッチを切っただ       
けでは、前のチャンネルを記憶しています。                             
これは電源スイッチ通過しない回路から直接ICに電源が加わっている     
からです。                           
 このための回路はD407(6Vツエナ) でIC803(M-58476)の電源を作ってい
コントロール部の電源  SA-28の電源をONにするとイル ミランプが点灯し、
チャンネルが1 チャンネルになります。また受信状態を示すRXランプが点灯します。
チャンネルコントロール回路の電源は、Q804(2SC1014)のエミッタフ
ォロワで行われていますが、基準電圧はPLLユニットの6Vが使用されて
います。
 そのためPLLユニット内部の6Vがなくなると表示がまったく出なくな
ってしまいます。

無線部の電源
 Q803で無線部に電源を供給しています。
 このQ803はPLLボックスの近くに付けられている安定化回路で回路に
約9Vの電圧を加えるようになっていますが、結構飛ぶ確立が高く受信
もしない電波もでないとなるとこのトランジスタか付属のツエナダイオー
 ドが飛んでいる場合が多いようです。  



 SAー2800に施されていた改造

  SA−28をSA−2800にするために施された改造の数々は、
  もはや職人芸とも言われるほどです。



SA-28ベースにして、80チャンネル化された無線機はSA-2800と名前が
変わり、パネルも白から黒へと変化しました。
 機械の内部も80チャンネルにしたために色々な改造が施されました
80チャンネルにする方法のうち最もコストが掛かるのは、チャンネルの
切替えでしょう。ノーマルのsa-28にはHIチャンネルやLOへのの切り替
えがなく、この切替えのために最低2Pのスイッチが必要になります。
 ところが、SA-28のパネルにあるスイッチは CHのON/ OFF
(CB-PAの切替)NBのON/OFFそしー5KHzのスイッチの3つしかありま
せん。
 このスイッチのうちどれかを利用して、HIチャンネルLOチャンネルの
切替えを作るのですが、どのスイッチも削除してしまう訳に行きません。
 そこで、SA-28では-5KHzのスイッ チを移動させて、このスイッチの部
分をHI-LOチャンネルの切替えに使用しています。
 -5KHZのスイッチは、ほかのスイ ッチと異なり、少しの改造で移動さ
せることができます。しかし、代替 になる単純なスイッチなどありませ
んおでの、スキャンのON/OFFのスイッチの部分を少々改造をし、-5KHz
のスイッチをつけます。
 SA-28ではスキャンをするためにスタートとストップのために2つの
スイッチを使用しています。そこで、わざわざON/OFFとして2つのスイッ
チを使用することもなく、このスイッチにF/F(フリップフロップ)動
作にして、スキャンのON/OFFを1つのボタンで間に合せれば、スキャン
OFFのスイッチを1つ空けることが できますね。空いたスキャンOFFの
スイッチにも押す度にON/OFFを繰り返すF/F動作をもたせ、-5KHzのスイ
ッチにすれば。-5KHzのスイッチの役割も1ボタン化することができま
す。

スキャンはチャンネルが1コづつアップしますので、作動中が確認でき
るのですが、-5KHzは、スイッチがOなのかOFFなのかが確認できません。
そこで、受信中に点灯していたRX-Lを-5KHz表示として、-5KHzが入ると
点灯するようにして-5KHzになっていることを表示させるようにしまし
た。
 これでHI-LOのスイッチの問題は片づきました。次に表示の問題です。
HIチャンネルがついたとしても、表示は1チャンネルから40チャンネル
だけで良いのですが、やはりせっかくHIチャンネルが使用できるのです
から表示も、、41〜80まで表示したほうが便利でしょう。
 そこで、表示を40チャンネル持ち上げるための回路が必要になります
 チャンネル表示の十の位を常に4だけ高く表示させれば良いので改造
は簡単そうですが、41から79チャンネルまでは、BCDコードで”C”の位
を固定してしまえば良さそうですが 表示が80チャンネルになった時だけ
具合が悪くなります。                 
 そこで、表示の8が出た時だけ、BCDコードをシフトする回路が必要
になります。 これが、マイクコネクタに近くに
とりつけられたサブボードになります。 このボードには、-5KHzをF/F化する
機能やスキャンのON/OFF機能なども含まれています。



細長いサブ基板

内部には表示の回路と-5KHZの回路がはいっている
 


 

回路図▼
 

細長いサブ基板の実装図▼

 
 

PLLブロックの内部と改造



PLL回路に加え
られた二階用局部
発振回路
SAー28のPLLは19MHzを発振するPLLループとIF信号である7.8MHzを
合成して作り出しています。



リファレンス信号
  PLLユニットの中ではSA-28に必要な周波数の合成が行われています。
    すべての基準となる信号は10.000MHZの水晶です。

 


SA−28の最小周波数ステップは5KHzなので、リファレンスの信号として5KHzが必要です。
そのため、基準水晶をSN7474で1/2で5MHzに分周し、その先のSN7490で1/10分周し500KHzを作り出します。この500KHzの信号はMC14568の内部にある分周器で5KHzになりファレンス信号になります。

MC14568はそれほど高速なコンパレータではないので、
ループ周波数をさらに下げておかなくてはなりません。、
そこで、先に基準として使用した10.000MHzの水晶を2逓倍し、20MHzちょうどにしておき、20MHzの信号とVCOの信を混合して差の周波数を作ります。
例えば26.965MHzの場合は、VCOは 19.165MHzを発振することになりま
す。20MHzの信号から19.165MHzを引くと混合差の周波数は835KHzになり
ます。この835KHzの周波数をMC4526のプログラムディバイダに加えて、0〜
16分周し、さらにこの信号を MC14568に加えてさらに分周するこ
とによってチャンネル設定を行います。今から考えれば非常に面倒なル
ープですが、当時(15年前)では画期的なPLLループと言えるでしょう。
 SAー28のノーマル状態ではこの10MHzの水晶がすべての周波数のモ
トになりますので、入念に調整をしおくことが必要です。
 
 

1チャンネルをだす場合の周波数ブロック図▼

 
 
 

二階を作るためにPLL回路に水晶を増加し、周波数を再合成していま
すので、この局部発振のための回路も増設されています。これがX-TALフ
ィルタにハンダされている基板です。

PLLユニット内で発振された10MHzの周波数は2逓倍され20MHZとなりVCO
周波数と合成されてから19MHz台のローカル信号になります。
そこで、2逓倍された20MHzの周波数を、外部から加えてやれば、VCOの
ループをさわらずに周波数の移動ができます。
お二階チャンネルは1階(26.965MHz ー27.405MHz)にくらべちょうど450KHz
周波数が高いことになりますので、450KHz高い20.450MHzをループに加
えれば、合成されて出てくる周波数は450KHZ高くなります。
PLLループの20MHzループに20.450MHzを注入するために20MHzの信号を止め
なければなりません。そのためPLLユニットのQ904のベースにH信号を
加え、Q904の作動を止めます。
そしてQ911(3SK41)のG1に直接 20.450MHzを加えています。
  SA-2800ではお二階用として 20.450MHZを発振させていますが、
 逆に地下チャンネルが必要なSA-280 DXなどの場合は、450KHz高いボード
 と450KHz低い19.550MHzを発振させ るボードの2枚装着されています。
 これにより、地下チャンネルの周波  数を合成しているのです。
 280タイプの120チャンネルの無線機は
局発7.8MHZと合成の3SK41(改修で3SK45)のドレインのコイル位置と
19MHz局発フィルタが広帯域化の為1つになっています。
 


 
 
 

△PLLユニットの実装図

 
チャンネル 周波数 IF周波数 分周比 −5KHz
1 26.965 19.165 1/167 1/166
2 26.975 19.175 1/165  
3 26.985 19.185 1/163  
4 27.005 19.205 1/161  
5 27.015 19.215 1/157  
6 27.025 19.225 1/155  
7 27.035 19.235 1/153  
8 27.055 19.255 1/149  
9 27.065 19.265 1/147  
10 27.075 19.275 1/145  
11 27.085 19.285 1/143  
12 27.105 19.305 1/139  
13 27.115 19.315 1/137  
14 27.125 19.325 1/135  
15 27.135 19.335 1/133  
16 27.155 19.355 1/131  
17 27.165 19.365 1/129  
18 27.175 19.375 1/127  
19 27.185 19.385 1/125  
20 27.205 19.405 1/119  
21 27.215 19.415 1/117  
22 27.225 19.425 1/115  
23 27.255 19.455 1/109  
24 27.235 19.425 1/115  
25 27.245 19.445 1/111  
26 27.265 19.465 1/107  
27 27.275 19.475 1/105  
28 27.285 19.485 1/103  
29 27.295 19.495 1/101  
30 27.305 19.505 1/99  
31 27.315 19.515 1/97  
33 27.325 19.525 1/95  
34 27.335 19.535 1/93  
35 27.345 19.545 1/91  
36 27.355 19.555 1/89  
37 27.365 19.565 1/87  
38 27.375 19.575 1/85  
39 27.385 19.585 1/83  
40 27.395 19.595 1/81  
32 27.405 19.605 1/79  

 

 

 

 



 局発ユニット
 

SAー28では、VCOの出力を10.00MHの局発の2逓倍の信号と混ぜ合わせ
て、プログラムディバイダに加えています。
 そこで、この20.00MHzちょうどの信号を変えてやればできあがる周波
数はカンタンに変更することができます。
 そこでPLLループの内部で 20.00MHzを使用するところに
20.450MHzを発振する発振回路を取り付けることにしたのです。
 すると、出来がる周波数はすべて450KHz高くなることになり、お2階
チャンネルが合成できたのです。
また逆に地下チャンネルを作り出す時は、450KHz低い19.55MHzの水晶を
使用することにより地下チャンネルを合成していたのです。
 このユニットは、別基板となっていて、2φくらいのスズメッキ線で
ィルタにハンダ付けされています。

2階チャンネル発振基板実装図▼

 
 

基板図 クリックででかい画像になります

 


シルク表面  はんだ面



 

SA−28の周波数調整
 SA-28の周波数調整は1つの水晶でPLLがコントロールされているた
めには入念な調整が必要です。
 まず、10MHzの水晶を調整しますが、この水晶はクラリファイアによ
って可変されてしまいますので、ク ラリファイアに加わる電圧を最初に
確認しなくてはなりません。 まず、クラリファイアVRの1ピン
の電圧を測定し9.00Vであることを確認します。

この電圧はQ803(2SC1014)で作成されています。
9Vが確認できたら、クラリファイアVRを中央に固定します。
 この状態でPLLユニット内にある10MHzの水晶の発振周波数を
10.000MHzになるように調整します。
 これで受信周波数が校正できることになります
 次に送信周波数を調整しますが、送信すると送受信切り替えリレーに
よってクラリファイアVRは、無線機内部に設置されているVR802に切
替えられてしまい、クラリファイアに加わる電圧が変化しますので、今
度はVR802(10KΩ)で10.0000MHzに合わせます。
この周波数は水晶端で測定する必要があります。

 

 

 

パワーコン

SA-280DXパワコン



 CB無線の
 チャンネル呼称
  CB無線はFCC規格の23チャンネル の無線機がベースになってチャンネ
 ルが設定されています。そのため、 1〜23チャンネルを1階チャンネル
 と表現し、その上に27.265MHZ〜27. 555MHzまでの23チャンネルを増設し
 46チャンネルをカバーしていた無線機はお2階付きなどと呼んでいました
  さらに水晶を追加し、27.565MHZ〜27.855MHzまでカバーした無線機
 を3階と表現した訳です。
  もちろんこのような表現は勝手に 決めただけのことであってルールが
 あるわけではありません。
  実際ナサ72GXなどという機械は1 階をSTD(スタンダードチャンネル)
 2階をナサチャンネル3階をXC (エキストラチャンネル)と表記し
 たものです。
  23チャンネルの無線機ではこのよ うに階数で表現が行われたのですが、
 しばらくして40チャンネルの無線機が現れると、チャンネルの表現方法
 が、変わってきました。
 1〜23チャンネル以上の周波数が合法的に出られるようになったわけで
すが、チャンネル呼称が連続してしまったため、それまでHI-5チャンネ
ルと呼称していたものが単純に31チャンネルと呼ばれるようになってし
まったのです。
これだけでチャンネル構造が複雑になるのですが、40チャンネルの無線
機は23チャンネルの無線機が46チャンネルになったように、すぐに倍の
80チャンネル化されたのですが、今までのようにLO/HIの表示で80チャ
ンネル化されたものではなく、HIに切り替えることチャンネル表示が4
1〜80まで表示するようになってしまったのです。
23チャンネルの時のように”2階の15チャンネル”などと、階数で表現
する必要がなくなり、いきなり76チャンネルなどと呼べるようになった
のです。
こうなると3階の15チャンネルは、40チャンネルの何チャンネルになる
かわからなくなってしまうのです。
 さて、23チャンネルの機械しかなかった時代は3階までの拡張で運用
する局のほとんどを吸収できたため、
これ以上の拡張は行われませんでしたが、40チャンネルの無線機が登場
した時にはすでに運用局が爆発的に増え、1〜80チャンネルでは使われ
ていないチャンネルがないという事態が起ってしまいました。
 そこで、同じ手法でもう40チャンネルを増やした120チャンネルとい
う無線機が登場します。ところが、80チャンネルの上にもう40チャンネ
ルを確保すると、28MHzのアマチュアバンドの中に食い込んでしまいま
す。実際にこのような機械があったのですが、これでは具合よくありま
せん。
 そこで、周波数を下に延ばした地下チャンネル無線機が登場します。
 すると、今まではLO/HIの切り替 ただけで、良かったチャンネル切り
替えスイッチにあらたに地下チャンネルポジションが必要になってきま
すね。
 3段階の切替えをすると、どのような呼称がよいでしょうか?
地下チャンネルをLOに当てて、普通の1〜40チャンネルをMIDチャンネ
ルとしたのです。
 
 
 
 



 日本電業は、このSA-28のつぎにコンソールVI(シックス)の発売。国内向けには、

LS102/LS102L/LS102Xと発売をつづけ、HFから姿を消します。
 
 


SA-28純正と思われる説明書、クリックで大画面になります。

 


 

 

 

 


 

  <SA−28定格>
 SA-28の定格は公表されていませんので、
回路定数から起こしました。



 <共通部>
 周波数範囲           SA-28      26.965MHz〜27.405MHz
                               SA-2800    26.965MHz〜27.855MHz
                                SA-280DX  26.515MHz〜27.855MHz
   電波形式                   SSB (USB LSB)
                                     AM
   中間周波数        7.8MHz
   電源電圧                    13.8VDC±15% マイナス接地
   空中線インピーダンス        50Ω
   重量                           約2.5Kg
 

  《送信部》
  送信電力          SSB  SA-28  SSB 12w    AM   4W
                      SA2800  SSB 12W    AM  4W
                     SA-280DXSSB 40W  AM 10W
                               
  変調方式             SSB  平衡変調
                            AM  終段コレクタ変調
  占有周波数          SSB   3KHz
                               AM  6KHz
  不要輻射強度         -60db以下
  搬送波抑圧               SSB-40db以下
  消費電流                3A以下 SA-280DX(10A以下)

  《受信部》
  受信方式                   シングルスーパーヘテロダイン
  受信感度                     SSB 0.3μV以下(S/N10db)
                             AM  1.0μV以下(S/N10db)
  イメージ比                   60db以上
  クラリイファイア可変範囲   ±3KHz以上
  スピーカーインピーダンス   8Ω
  低周波出力                  2.0W以上(10%歪率8Ω負荷)
 
 


SA-28を作った日本電業さんは、 日本電業は富士通に吸収されていました。

HPもありました。ただ、もう当時の人たちは退社されているでしょうからSA28ののことを聞いても無駄でしょう。HI

http://www.fwl.fujitsu.com/
 
 
 
 。1955年(昭和30年) 資本金150万円にて主に船舶用通信機の
製造を目的に設立。(神戸市)
1959年(昭和34年) 東京都板橋区に工場進出。
業界初の小型トランシーバー量産開始。
1965年(昭和40年) 埼玉県大里郡に熊谷工場完成。
1967年(昭和42年) 全トランジスタ化CB車載機の世界初量産。
1976年(昭和51年) 熊谷新工場完成。
1986年(昭和61年) 富士通グループに参画。
通信機技術を活かす第二世代へ。
1993年(平成5年) 社内LANシステム構築。
1996年(平成8年) 無災害記録証 第5種(1170万時間)
労働基準局より受賞。
1997年(平成9年) 富士通(株)那須工場内に那須事業所を開設。
富士通のネットワークシステムFJ-WANに加入。
埼玉県の『彩の国』工場認定。
1998年(平成10年) 熊谷工場に本館、厚生棟完成。
1999年(平成11年) ISO9002認証取得。
2000年(平成12年) ISO14001認証取得。日本電業から富士通ワイヤレスに
社名変更。本社を東京都板橋区より埼玉県大里郡に移転


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