2SC2290の思い出

 

まだCBバンドが華やかだった時期に、2SC2290というトランジスタがありました。

最大コレクタ損失 175W 28MHz 12.5V Pin 2.5W Pout60W という規格。これを広帯域トランスでプッシュプル接続し、入力5Wで出力120wというブースターに採用されました。 当時は少しでもみかけのパワーが出ていると思わせる商品のためにこの2SC2290が2つ入ったブースターは**ー200というように入力パワーを表示していました。 東京ハイパワーのHL−200Eなどは、まさにこの例で、2SC2290をTHP100とリマークして使っていました。

このトランジスタは、規格から言えば入力5wで120w出力が定格なため、それ以上はパワーを出すことができません。しかし、チマタでは、”200w”出力ということを信じて疑わない人が多いのも事実です。

このトランジスタの能率は大体70%です。ということは120w出力時は消費電流が約14Aということになります。

 

バイアス設計

2SC2290を使ったリニアが壊れる原因はアンテナからの反射が原因のようです。SWRが高いと、あっという間に飛んでしまうのです。そのため、AWI回路(アンテナワーニングインジケータやATP(オートプロテクト)などの回路が登場してきました。

またもうひとつ2SC2290が飛んでしまった場合、そのままトランジスタを交換しただけでは同じように動かない場合があります。

というのも、このトラジスタ。直流分HFEが10から150と15倍もあり、装着されていたトランジスタがHFEが100であり、交換後が50とすると、バイアス値が大幅に異なってしまうのです。そのため、トランジスタを交換したら、バイアス電流の調整が必要になります。2SC2290を使用しているリニアは、バイアス電流の調整が重要です。

具体的な調整方法はノウハウがあるので具体的にはいえませんが、必ず片方ずつ調整することが必要です。

1)コレクタに電流計を接続し、強制スタンバイで送信状態にする、

2)このときにコレクタ電流を記録する

3)p−p アンプの片側だを増減させ、ほんのわずかに増える点に固定。もう反対もほんのわずかに増える点に固定しする

4)バイアスが多ければひずみは少なくなるが、常に発熱するようになる。少ないとSSBなどリニアリティが必要な信号で変調がモゴモゴになる。

 

 

コレクタ損失

2SC2290の出力はどんなにがんばっても1つあたり60wしかでません。しかし入力を多くしていくと80w程度までは出力することができます。もちろん入出力間の直線性が崩れますので、キレイな電波ではありません。

 

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