2005/06/03 2008/10/15up

 

2SC2510(THP150)

 

私のHPにブースターの出力についての書き込みがありました。その内容は、CBのブースタについて送信電力についてサバ読みが多いというものでした。そこでなにが本当なのか?を確認してみましょう。

 

←HL200E

まずこのブースタはみたことがあるでしょう。そう東京ハイパワーのHL-200Eです。

内部を見ると、THP100というトランジスタが2つはいっています。

実際にこのアンプを接続して送信すると5−6wを入力させることによる出力が100wが得られます。

ところがなぜかこのブースターには 200という文字が型番にあるので、200wが出力されると思っている人が多いのも事実です。よく解釈すれば200Wp−pということでしょうか?(笑)

さらに入力をあげていくとパワーは増えますがキャリアで150W程度で飽和し、

それ以上パワーは出ません。

 

 

2SC2510

CB用のブースタの定番は東芝の2SC2510でしょう。PC=250Wを誇る事実上の1番出力が出るトランジスタです。このトランジスタを使って27MHZのブースタを製作する場合どのように行われるのかを紹介していきたいとおもいます。


名称 VCC PC 規格(VCC-28V)
2SC2510(東芝) Vcbo 60V IC20A 250W(25℃) Pin7W→Po150Wpep

 このトランジスタの規格に注目してください

VCC=28Vで Pin7W→Po150Wpep とあります。

これは「電源電圧28vの時に7Wを入れると150Wにすることができるもの」と考えればいいでしょう。

 


通常CB無線機の出力は4wが標準です。7Wを入力すれば150w出る2SC2510で」あっても

CB無線機から4w程度を入力したところで出力は80wくらいにしかなりません。

実際の回路では、入力にマッチング回路などが入りますので、ドライブ電力は10wくらいが必要になり、10wを入力すると、ちょうどいい具合で、出力も150W−160wくらいがキャリアで得られます。

 しかし、これは、VCC=28Vの時であり、トラックなどで利用する場合の電圧はDC24Vと定格の85%くらいであり、実際の24Vでは120w−130wというのがせいぜいのところなのです。

ここから先は、大甘くみて7wの電力が150wに増幅することができる石として話を続けていきます。

 

 

←イメージ

上の図 のように7Wが150wになるというイメージを想像してください。

電源電圧が定格どおりの28vを加えます。 電流は約8A流れることから

入力電力は約224wであり、能率は約66% (電源電圧に対する実際に送信されるまでの差)という計算で

たいへんよく作動していることになります。

 


7Wの送信電力が150wになるということは約20倍に増幅していることになります。

この20倍というのもよく覚えておいてください。

1Wなら20W 

2Wなら40W 

といように比例してパワーが伸びていいきます。

しかし、この伸びは7Wを入れれて140Wが出力されますが、

10Wを入れても200Wは出力されません。

パワーが多くなると増幅率は下がってしまうのです。

 

 

 

 

 

HL-400J

2SC2510は単体で使われることは少なく、プッシュプルアンプとして使用されています。プッシュプルアンプとは

信号の上下を別々にトランジスタで増幅するという仕組みで東京ハイパワーのHL400Jなどがこの方式です。

 

△HL400J

 

この場合はトランジスタ2つになるので、出力は倍の(150w×2)=300Wになるのですが、

この時に、トランジスタを2つあるためには、入力電力は7wの倍の14w入れなければ300wは出力されません

回路によっても差がありますが、トランジスタが2つになった場合、入力電力も倍なければいけないということになります。

 

△トランジスタ2つの場合(HL−400J)などはこのようになっている

 

実際は入力を2分配するときに少なからずとも分配のためのロスが生じます。これが分配ロスというものです、ロスは回路によってさまざまですが、まあ、10%くらいロスすると考えると、正しい入力電力として15.4w必要になります。さら出力回路にも電力の合成回路が必要になります。たとえば両方のトランジスタが300w出ているとするとやはりロスが発生し、約280w程度になってしまうのです。

このようにせっかくのトランジスタでも分配 合成のロス、さらには、VCCが28vにもかかわらず、バッテリー電圧は24Vしかないわけですから、そのままでは実際には280wどころか200w越えくらいになってしまうのです。

 

つまりHL400Jは10Wを入れたとしてもまあ200W程度のキャリアしか出力されないということになります。


HL-800Jの中身

2SC2510×2個であっても24Vで作動をさせる限り、200ちょいしかパワーが出ないのはわかったとおもいます。ここではまたまた大甘いみて250wが出力されると考えてみます。2510のプッシュプルアンプを2台合成することにより250w×2=500w電力を作り出すことが出来ないでしょうか?

 東京ハイパワーでいうとことのHL800Jですが、この構成にすると、入力電力がなんと33.8wも必要になります。こうなるとCB無線機の出力電力だけでは不足しますので、中押しという回路が必要になってきます。

 

 

 

 

このように連結していった場合。入力に33.8Wの電力が必要になります。

そのため入力電力を4Wを33.8wの電力にする中押し回路が必要になります。

残念なことにこのような中途半端な電力にするトランジスタはないので、実際には2SC2510を

ドライバーに利用します。当然1つあたり150Wにもなりますので、中間にアッテネータを接続して

パワーを調整しています。

 

リニアを見てみると、入力に中押しの回路があって、入力された電力を30Wや40Wに増幅し、

それでプッシュプルアンプを押すという回路です。

 

 

 

 

 


このようにどんどん増やしていくことが可能であり、上記の8発のアンプをもう1台用意すれば、

2SC2510 ファイナル16発で 約1.5kw 28V=90A(2520W)n(能率)=70%のアンプが出来上がります。

 

 

 

一般的に17発使用のブースタはこの形式です。

 


 

電流流と出力の関係

 

高周波増幅アンプを製作する上で欠かせないのは、消費電流です。22S2510を1つ使って150wのアンプを作る場合、DC28VでIC20Aが定格です。これを絶対最大定格といい、これを越えて使用することができないという定格です、これを越えて使用した場合、何が起きてもおかしくはありません。

PC250w を守るとすると、DC28Vで約9A DC24Vで10A 以下で使用しないとトランジスタは壊れてしまいます。これを図にすると下記のようになり、電圧が低いほうがたくさん電流が流すことができます電源電圧を12.5Vまで下げるとICは20Aまで増えますPCもICも規格内で利用するという条件が重ねて作動をさせなければなりません。

 

 

IC20Aのトランジスタに対して適当な放熱器につけたて20Aの電流を流せば秒間の間に100度くらいになってしまいますので、IC20Aで20Aは流せません。通常はICもPCもその60%程度で使うのが普通で、結果的に

通常トランジスタの能率は60%程度で計算をしますので、PC 250w ×6割 =150w 

で設計を行うというのが普通です。つまり

電源電圧(24V)×消費電流(A)×0.6=出力電力(W)

この原則が成り立ちます。式を変形すると

 

出力電力÷0.6÷電源電圧となります。

 

 


10Kwのアンプ

 

たとえばこのように2SC2510をたくさんつないで出力10kWのアンプは作れないわけではありません。

2510を50個つなげばキャリアで10Kは出力されます。

このときドライブ電力は500W程度必要になり、500Wを出力するためにさらに2510を16個必要になり、それをドライブするために

1つの2510が必要になります。

つまり67個です。 DC24Vで 約800Aの程度の電流が必要になります。

ちなみにこの電流を流すには回路インピーダンスは0.03Ωになり、10m引き伸ばすには断面積が8cm以上太さの電線が必要になります。

 

放熱問題

先の能率60%のうち40%は熱に変換されます。つまり10kwを出力した場合。4kwが熱に変換されます。この4kwの熱処理をどうするのか? というのが問題です。当然、アルミの放熱器ではあっという間に熱くなりますし、銅板でも放熱が追いつくわけがありません。車の中に4wの電気ストーブをつけぱなしにするという状況がいかにすごいことかと思いませんか?

 


 

アベレージ表示とpep表示

AMは無変調という搬送波に音声の情報が上下に変化することによって送信されます。

そのためAMの送信出力は、本来なばキャリア電力の4倍の能力が無ければ送信できません。

アマチュア無線機の100w無線機のAMの送信電力が25Wなのは、このAMの搬送波のピーク電力がキャリアの4倍必要だからです。

たとえば100wのアマチュア無線機でAMで100Wを搬送波(キャリア)出してしまうと、それには正しいAM変調がかかりませんし、仮に正しく変調を加えると、そのピーク電力は400wにもなります。

そのため100wのアマチュアS無線機ではAMキャリアは25wしか出せなません。

普通AMの出力はキャリア電力表現されることが普通なのですが、なにを勘違いしたのか、

pep表示で行う販売店があるようで 100wしか出せないブースターを400w

などと表示しています。リニアを購入するときは十分に注意したほうがいいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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