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テレビが写ンなくなりました!

SONYのWEGA KD-28HR500

  

以前から画面の大きさが小刻みに震えるような症状があり ホコリとかがたまって高圧リークとかが起きているのかと思っていました

  ところがある日 電源を入れても音は出るが画面が出ないようになってしまったのです

 主電源をOFf ONすると電源のリレー音はするし 音声も出ますのでコントロール回路は生きているはずなのですが

高圧発生の「ヴおん(笑)」という音がしないし画面に静電気も感じられません

テレビに耳を近づけても垂直の発振音は聞こえますが 水平のキーンという音も聞こえません

これの症状ならば電気屋ならほぼ全員が高圧が発生してないと判断するでしょう

 そしてトラブルも簡単 ハンダクラックか水平出力トランジスタの不良 悪くてフライバックトランスの焼損といったところでしょう

とりあえず中をみればすぐ解決しそうなものです

  


 さて

さっそく分解しようとしたのですが がこのテレビめっちゃ重い!

前面部に座布団を敷いてから やっとのことで裏返ししてねじを14本取り外して中をみてみました 

高圧が発生しない原因は水平発振がとまったためと考えられるので まず水平出力トランジスタを探してみました が、水平出力と思われるトランジスタはなんと 機械の一番後ろのフライバックトランスとかけ離れた位置についています パターンを追ってみてもとてもフライバックへは入っていません

懐中電灯をもってきて詳しくみても フライバックへのパターンがないのです

どこかで渡っているか ジャンパー線で処理なのかなあとおもい みやすいように 高圧まわりに吸いついたほこりをはらい水平出力トランジスタの型番2SC5778をメモしました 

ハンダクラックは発熱を伴うトランジスタによくみられるトラブルで 熱によるストレスで足の部分がテンプラ状態になります

 テンプラになるほどの場所ならばハンダの変色やまわりの焼け具合からなんとなく想像もつくわけなんですが今回の場合それらしい場所もありません

なんだろかなあ? 


SONYに電話

重いしデカく作業性がめっちゃ悪いし こうなったらSONYに直してもらうか!

 とりあえずSONYのサービスへ電話して症状を伝えます

テレビの型番と お知らせランプが9回の点滅を伝えました

 

ところが天下のSONYサービスさんです

「みなければわからない」

出張費は3500円

見積もりは1000円

それに交換部品代金に技術料金という

金額の提示です

まるで時価と書かれている寿司屋に入るようなものです

メーカーとしては標準的な答えかもしれません

 

「お知らせランプの9回点滅というがなにが不良なの?」

という私の問いかけにも 

返事> 「資料をみますのでおまちください」

 

応対から感じるのは

”なにもわかってないな コイツ”です

 

しばらくすると9回の点滅は

電源の不良だという回答をもらいました

おいら心の声>(そんなのは分かっちょるんよ)

たぶんこれ以上話していても時間の無駄です

あとは自力でどうにかすることにしました

 


ネット 

さてここでネットの登場です

KD−28HR500で検索すると

結構たくさんでてきます

 

その中に2004年の発売当時の

プレスリリースがあり

水平ドライブと高圧発生回路を独立させた

となっています

なるほど最初から別々なのね←あっけなく解決

そう思って改めて見てみる水平ドライブから直接水平出力へつながり それが偏向コイルへと伸びています

 

つぎに自己診断9回点滅+HR500  どで検索すると

やはり同じ症状になった人の体験談がでてきます

大型商品なのでほぼ全員が出張修理を依頼し ほぼ全員が無償修理になっているようです

 その壊れる原因をみてみると MCZ3001DBという電源コントロール用の

icを交換されたと書かれています調べてみると新電元のICじゃないですか

新電元さんは秋葉原に会社があるし直接購入も可能っぽいICです 

 形状が18ピンのDIPのICの交換ならば自分でもできるでしょう

SONYさんのサービスを呼んで無償修理させるのは簡単ですが HPのネタのために

自分で交換してみます! 

 


秋葉原のサービス

秋葉原のサービスへ行き窓口のお姉さんに 目的の MCZ30001DBがほしいと伝えました

すると専用のパソコンでパーツリストを見て

くれたのですが 

姉さん→ 「その型番のICはありませんねぇ」

という目的のICがないという答え

私→ 思わず「そんなバナナ!」

窓口のお姉さんPCをカチカチ

何かを発見!

お姉さん→ 「あーありました!」

結果  部品表では”MCZ3001D”になっているそーです

ネットにでているMCZ3001DBは交換後の番号

なんですね

 ということはMCZ3001Dがついているものは遅かれ早かれ壊れちゃうということじゃないですか

   

後から部品を頼む人は部品番号

 

形式KV-21-DS55  PartsNo 6-705-810-01

ですので この型番で頼むと スムースだとおもいます

¥600+税30=¥630

 ちなみにKV−21−DS55代表機種というもので

購入したICの袋にはKV−28DX650という別の型番が書かれています 

試しに部品番号のみで ネットを検索するとみると

このICが使われているテレビがが山のように検索されます

KV-26FA210 /KV-29DX550/ KV36HS500 / KV-HZ34M36 / ・・・・・・・

 

 

 

SONYの98年ごろに販売されたテレビで 同じくように電源が切れてしまうというテレビがリコールとなっています  公式にはコンデンサの不良となっていますが、もしかしたら同じ部品が原因でリコールになっているでしょうか? 調べてみたいですねぇ

 

じゃいっそのこと このKDシリーズもリコールすりゃいいじゃねーの と思うでしょ

 

私もそうおもい とある人(まあ関係者)の情報を聞くと

 

同じ部品が原因でも発火や爆発などの原因になる場合はリコールで 壊れても発火や爆発しなければリコール対象ではないらしいです

 

 わざわざ自己診断機能を乗せて 発火の前に電源を切るという一見フェールセーフは会社のためのフェールセーフでもあるのでしょう

 


交換しまっせ

私はハンダこて生活長いです そんじょそこらの

サービスマンには負けないですよ

 

高圧回路をのドライブ回路を触ることなど朝飯前その気になればテレビの回路くらい

ユニバーサル基板でつくちゃいます。 なのでこのICの交換は難しくはないのですが

やっぱり普通に人には難しいかもしれませんのでご自分で交換する人は注意ください

そんなことをちょっとだけ前置きして

さっそくICを交換しましょう

 

ハンダはバキュームで吸うのが簡単ですが今回はだれでもできるようにハンダ吸い取り線でチャレンジですさてテレビのメイン基板をみると

 

2つのMCZ3001DBがついていて どちらもICのロット番号は00434となっています

すでにDBとなっているので対策品なんでしょうか?

結果からいうと私のHR500はIC8400のほうが壊れていたのでこちらのみを交換すれば復旧しました

 ただし不具合報告があるICを放置するのも気味が悪いので2つとも交換するというわけです

 

2つ装着されているMCZ3001DBはどちらのICも基板をささえるフレームがじゃましてハンダがしにくい場所にあります

みやすいようにテレビをいろんな向きにしてみますが どの方向からみてもハンダしにくい場所です

 

 

作業的には まずB−CASカードとメモリースティックを抜きましょう 復旧の時面倒です

 そしたら左にある電源基板の

電源コネクタを抜いてから をハウジングごと取り外します タッピングねじ4本で止まっています

電線の結束も適時外します

すると電源基板が外れるのと同時にオーディオアンプの基板がぶらんぶらんになりますの断線しないように まとめておきます

 

ここまで外すと メイン基板がフレームごと外せるようになっているのがわかりますとおもいますが完全に抜こうとすると アノードの線や GND線などの結束もはずさなくてはならないので 5cmくらいもちあげてすき間に

ドライバーでもさして仮固定します

 これで十分にハンダ作業ができるようになります

  

テレビ基板は片面一般基板なので吸取線でキレイに取れちゃいます

 ハンダこてを十分に温めてから ハンダ吸取線をあててハンダを吸い取っていきます

 このときゴリゴリと押し付けたりするとパターンが傷つきます そっと当てるだけで十分です

ICのすぐ近くのはパスコンと思われるチップ部品がありますので注意してください

 

 

ハンダが全部とれたらピンセットなどでICをそっと引き抜きます

もし抜けないようならまだハンダが残っていますので吸取り直してください

 

交換する新しいICの足のピッチはDIP(2.54mm)より広がっている場合が多いので机の表面など 平面のところで少し整形してから 方向性を間違えないように差し込みます

 

このままだと反対に向けたときにIC落ちてしまうので差し込んだら足(ピン)を広げればもう落ちません

この状態で1ピンずつハンダすればOkです

 ハンダがおわったら余分なフラックスをアルコールでふき取ります

 このフラックスを除去するかしないでプロ仕上かどうかがきまりますよ

ハンダブリッジしてませんか?再度確認してから

電線の噛み込みがないかどうかを注意してフタをしちゃいましょう

 

画面が復旧しているのを確認

してほかの配線も元に戻せば一件落着です

 

MCZ3001D(shindengen)

 

ネットで調べてみました 制御入力付きのPWM制御用ICです 

回路図もありました こんな感じで使われています。

平たくいえばスイッチング方式の電圧コントローラーで出力電圧をICにフィードバックさせることにより電圧を一定に保ちます

今回は高圧発生回路で使われているMCZ3001DBの不良だったのですがICの不良なのか設計の問題なのでしょうか?

自分で交換したので現物が手元にあるので少し解析してみることにしましょう 電源を加えて出力みるとなんとICそのものの機能は正常ぽいのですが 外部出力をコントロールしている出力がでていません

 Ioutが不足して壊れたかもしくは

電源出力からの電荷の逆流によって壊れちゃうのかもしれません

outの不足ならICの原因

出力からの逆流なら設計の問題の可能性がたかいようです

どちらにしても ICの不良には間違いありません 

 


今回の修理代金

 ハンダ吸取線

200円  
MCZ3001DB 630円×2=1260  

作業工賃

0円  

 1460円で復旧     


SONYへの思い

まあこうやって無事に直ったわけなのですが

SONYではこのICが壊れた場合は無償修理を秘密裏に行っています 秘密というのは サービスに連絡しても有償修理を説明されるだけなので もはや秘密と言ってもいいでしょう。

 ほんの5年前ならばこのようにこっそり対策をすれば誰にもバレなかったのでしょうが 今はネットという通信インフラがあります

 テレビがつかないというトラブルがネット上を飛び交いユーザーどおしが情報の交換ができる現在では

こっそり対策をしていたとしてもすぐにバレてしまいますね

 電源が入らない故障が多く発生していることや

特定の部位の場合は無償修理になるということを

サービスの窓口まで下し。ユーザーから要求に答えられてこそサービスであって 今回のような対応はサービスでもなんでもなくただ与えられたマニュアルを読んでいるだけに感じられます

 不良品か 買い取れとかそーゆー人が出てくるのをけん制する意味や 会社としての面目などたくさんの理由があるのだとおもいますが

 その根底には”不良を隠しておく”という古い体質があるのだと思います

  悪い部分があればそれを積極的に公開して対策をしていくほうが優良な目メーカーとして認識されるんだとおもいますけどどうでしょうか?

 チマタでいわれるSONYタイマーという言葉を甘んじて受け続けるのはこのあたりの体質が現れているのかもしれません。  

  


 

こんなのみつけました

関係ないんですがツイーターの線間にケミコンが

ついています カップリングコンデンサでもないしf特性調整でもないし なんでこんな場所にチューブラに配線するんでしょ?ちょっとみっともないですよ

 

 

【2007 9月20日】

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