PLL02Aの思い出

 

おもえばこのICをはじめてみたのは、サイバネット社のCBトランシーバーだった。それまで、水晶シンセサーザーの無線機が主流だったので、なにやムツカシイものだと思っていたのだ。

しかし、あるひ秋葉原に出かけると、基板ムキだしのCB無線の基板が4000円くらいの値段で売られていた。あとからフォーマックの中身だと分かるわけだが、この基板は、数本の配線をすると、ちゃんとCB無線として機能をするものだったのだ。チャンネルスイッチを取り外して、そこの2pのスイッチをつけると、256chのスーパー無線機を作ることが出来るものであった。

この基板を仮に”緑基板”という名称で呼ぶと、この緑基板がなければ、PLLを理解することはできなかったくらいな出会だ。緑基板の正式名称はPTBM027AOX。

PLL02Aをベースにした機械は、のちに80CHや、120CHという機械に進歩をしていくことになるが、その最高峰というものが、エクスカリバーという機械だ。オールモードでAC電源搭載だ。この機械にもPLL02Aが使われている。(PTBM12104X)

 

 

今から考えれば、分周期が2つ。位相比較器が1つというたわいもないものなのだが、実はこのPLL02Aには、秘密があったのだ。それは、上の図の1/1024の分周器が4ピンに接続され通常VCCに接続されている。これは、分周期を1/1024にしていることになる、このピンをカットして、GNDに接続すると、分周器が1/2024になり、位相比較器に5kHZになることになる。

その結果チャンネルが5khZステップになってしまうので、MSBの方向にビットシフトすることによって、日本電業のようにー5khZ化ができる無線機がつくれたのだ。

上の図は、PLL02Aを使った2クリスタル方式のCB無線機のブロックダイヤグラム。この後に、1クリスタル方式のCB無線機に進化

 

PLL02Aには、実はたくさんの兄弟分がいて、PLL02Aと刻印がありながら、分周囲が10ビットあるものや、11ビットあるもの。また今回のIC800のようにリファレンス分周期の動きがヘンなもの、もあります


 

PLL02AとVCO

NPC(日本プレシジョンサーキッツ)という会社が作っていました。このICにはシリーズがあって、PLL01A(入力が2進化10進数)やPLL03A(リファレンス変更による送信受信周波数シフト機能 US−AM) 。08A(FM用)という兄弟もいたが、02Aほどの量産はされていない。

 

チャンネル増設改造

02Aで分周比か変化させて行くと、ある一定のチャンネルから上にならないとか、ある一定のチャンネルから下に下がらないという怪奇現象が現れます。これがVCOの特性によるものだと気が付くのに、5年、作動を把握するのに10年近くかかりました。(だって誰も教えてくれないんだもん)

というのも、サイバネット社の作っているZZZと刻印のあるVCOが発振周波数によって波形がひずみ、次の段のミキサーに加えてもマトモに変換されないということがおこるのです。

VCOを取り外してCV端子を1/2Vに固定して出力波形を見てみると、次のようなことがわかりました。

1)コアを完全に抜く→周波数が高い状態

2)次第に押し込む→周波数が低くなると同時に振幅も増大

3)さらに押し込むと→周波数が下がらなくなり波形がひずむ

4)さらに押し込むと発振が止まる

 

つまりコイルの容量を最大すると、VCOの発振が停止してしまうのです。あげくに出力レベルはコロコロ変化する。というようなめちゃくちゃ特性の悪いVCOなのです。これでは正常に周波数合成などできるわけはありません。それでも、40CHや120CHの無線機はちゃんと動いているのはなぜなのでしょうか?

それは、チャンネル合成のために、わざわざ1クリスタル化したものを2クリスタル方式に直して、地下分と、2階分を合成していたのです。つまりVCOの発振する周波数そのものは、1−40CHと同じ場所を使用しているということで。分周比でチャンネルを稼ぎ出そうとする我々とは、考え方が違ったのです。

 


 

 

 

 

 

 

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