CBに最適な同軸ケーブルの長さ

みなさんがなにげなく使っている同軸ケーブルですが、その中では実に色々なことが起こります。

電波を理解するにはまさに好都合なものなのですが、その振る舞いは無線の奥深さが現れます。


みなさんは同軸の長さでSWRを調整するという話は聞いたことがないでしょうか? OMの中にもは、このような間違い論理がまかり通っており、それをまた吹聴するOMが存在するのも事実です。しかし実際に 「SWRがよくなった」 「TVIが減った」などという人が必ず現れます。 その思い違いはなぜ起こるのか? ということに触れて見たいと思います


SWR計の位置

まずこちらをご覧ください

△図1

みなさんシャックではSWRメーターはどこに設置していますか? 無線機の出口ですよね?_

そこから同軸ケーブルでアンテナを接続している場合がほとんどのはずです。

このように無線機の近くにSWR計をつけるということは アンテナのSWR値ではなく、アンテナやコネクタ 同軸を含めたSWRを測定することになり、

アンテナ自体のSWR値をみているわけではありません。

つまりこの接続こそが同軸を切ってSWRを調整する原因ともいえます

 


われわれがアンテナのSWR値について話をする場合は、アンテナの本体のSWRを論じているはずですが、実際は図1のようにアンテナと、同軸をひっくるめたSWRを測定し、その指示値を元に、アンテナのSWRは? と言ってしまっているのです。

では純粋にアンテナのSWRを測定する場合は、どのようにしたらいいでしょうか? それはこの図2のようにアンテナの直下にSWRメータを設置することです。この位置にメータを設置して初めてアンテナのSWRを測定していることになります.

△図2

 

ではここで図1はまったく間違いであり無意味なことなのでしょうか? というと実はそうではありません。

図1においてのSWRが1.0であった場合 無線機に反射がなく、送信した電力がすべてアンテナ系へ送り出されていることが確認できます。そのために無線機の出力端にとっては最適な負荷がつながっているということになります。ただしアンテナ系の総合SWRなために送信した電波が効率よくアンテナから放射されているかどうかは分かりません。

 図2のアンテナ直下にSWRメーターがついている場合。メータ指示が1.0である場合、アンテナははその能力の最大限作動しており、送り込まれた電波は100%空中に飛んでいるということを表しています。

しかし、無線機を含め同軸内のSWRがどうなっているのか分かりませんの ひょっとすると無線機の出力端のSWRは3.0かもしれず、無線機にものすごい反射波が返っているかもしれません。


同軸の長さを変える

さて、ここで同軸の長さを変えるとなぜ、SWRが変化してしまうかを考えましょう。

下の図を見てください。アンテナではなく50Ωに整合されたダミーロードを接続したものです。

図3

同軸ケーブルが50Ωに整合されているもので、あり、かつ負荷も50Ωであれば、どこで測定してもSWRは1.0を表示します。 

 

 ダミーロードが50Ωに整合されていても いろいろな条件により僅かながら誤差は発生し、その誤差によりSWRが悪くなります。ダミーで実験しても極僅か反射が確認されるますが、アマチュア無線用のSWRメータで見る限りどこの位置でも1.0を指し示すはずです。

 


 

ではここであえて不整合を起こしてみます。

50Ω以外のダミーロードを接続して、わざとミスマッチ状態を作り出します。

図3はミスマッチを分かりやすいように分けた図です。

終端のインピーダンスが50Ωでない場合、終端された電波が鏡で反射したように戻ってきます。

これが反射波です。

 

図4

 

 

 無線機から送られる進行波(黒)と、反射してくる反射波(青)の2つが存在することになります。

電波が戻ってくるだけならば、問題ないのですが、実際の同軸の内部では、進行波と反射波が合成されてしまい、元の電波とは違った大きさの波ができてしまいます。この作られてしまった波を定在波といいます。

反射波の発生により作り出されてしまった波により同軸内はそりゃもう大騒ぎに状態になってしまうのです。

 

 



 同軸ケーブルの中には、送信した電波が流れて行きます。

 CB無線の波長は大体11mであることから11mの波長の電波が流れるているのですが、電波が同軸ケーブルなかを流れると、その周波数の電気的波長(λ)により電流が大きい部分と小さい部分ができます。

電流の節(電流最小値)のインピーダンスは大きく電流の腹(電流最大値)ではインピーダンスは小さくなり波長(λ/2)の両端は同じインピーダンスになります。  

 

周波数はを27.300MHzとして、電気長 である7.55m先に50Ω以外ダミーロードがついているとして今適当な長さで同軸が切られているとすると。切られた場所で先に行こうとする 進行波と、戻ろうとする反射波が、影響を及ぼしSWRの高い場所と、低い場所が現れてきます。

厳密に進行波と反射波を測定できるパワーメーターならば進行波と反射波を別々に測定が可能なのですが、アマチュア無線などに広く使われているメータはの8割以上はこのように進行波と反射波を区別せず、進行波とSWR値(定在波)を測定しているので、SWRが高いという事実のみが分かり、それが反射波なのか? 合成された定在波なのか? の区別はつきません。

 



SWR値の変化

図3では負荷が50Ωであったため、同軸のどこのポイントで測定しても良好なSWRが得られたのですが、負荷が50Ω以外になったとき 同軸の内部はどのようになっているのか? というを確認してみましょう

これを検証するはカンタンで、同軸の1/4λ(27MHZ=3.625m)ごとSWRメータをつけて、50Ω以外の抵抗で終端してみます。

その結果 SWR値の良い部分と悪い部分が1/4λごとにに現れるようになります。

れは上の1/2ごとに同じインピーダンス点が現れるということを表しています。スミスチャートでミスマッチをさせたときの模式図とまったく同じ点で信号が現れるのです。

 

図5

 

例えばもしSWR1の点でSWRが高いときにはSWR2の点まで切り詰めればSWRがよくなったような気分が味わえるというわけです。


大原則

 

 

当然。同軸の長さを変化させてもアンテナSWRは変わるわけがありません。

この現象は。同軸の長さを変化させてSWRの指示を最低にしたとしてもそれは、アンテナのSWRが良くなったわけではなく、「アンテナ+同軸」の見かけのSWRがよくなっているように見えているだけです。

そもそもアンテナは使用周波数に同調(共振)して、反射がない(SWR1.0)になることを目標にしなくてはなりません。

アンテナの不具合を同軸の長さで調整してはいけません。

同軸を切ってSWRを調整してしまう人は以下の間違いを犯してます。

 

SWRメータの取付位置 無線機直後につけたSWRメーターの指示値を論理の根拠としているためSWRの話をするときに アンテナのSWRの話をしているのか ?アンテナ系のSWRの話をしているのか?明確に分けられておらず、経験則からの感想であり 論理的裏付けではない
アンテナのミスマッチ アンテナのインピーダンスがちゃんと50Ωに整合されていれば、SWRメーターで気になるほど悪くはならない。 つまり反射が確認できるくらい 悪いアンテナを使っている
確認をしない 自分の手元にメータを信じてしまっているので、本当のアンテナのSWRを知らないままやはり経験則での話をしている。せめてアンテナをとりはずし、 同軸ケーブルを10mくらいつないだ先にダミーロードをつけるくらいのことうしてくれればすぐに分かるのだが、それすらもしない。

 

 


 

アンテナのSWR

同軸の長さを変えるとSWR値が変化するという経験から短絡的に同軸を切ってSWRを最小にするという手法を編み出してしまったというのが原因なのですが、OMの中では、この同軸切ってSWRを調整するということをよいことして信じている人が多くいます。

こんな例があります

160mや80mでモービル運用をする人などは、波長が長く普通にモービルアンテナを設置しても、短縮率が高くなり 結果 HI−Qアンテナになります。 HI-Qとは アンテナを作るときにアンテナが同調できる範囲のことで、HI-Q=同調点が狭い と考えていただければ良いと重います。 アンテナは外の環境にさらされて、しまい、アンテナのマッチングが変化しやすくなります。例えば走行中にアンテナがフラつき同調点が数十KHzズレるなどというのはザラにおきます。

 

アンテナのSWRはアンテナ端で測定しなくてはならないのは先にお話ししましたが、低い周波数では短い同軸では、アンテナ側のインピーダンスの乱れが直接無線機に伝わり 僅かなSWRの差が直接反射として現れてしまいます。 その結果SWRが落ちないとか 落としても安定しないという現象で現れます。

 

そこで考え付くのが 同軸ケーブル長での調整です、160mや80mでは1回目の同一インピーダンス点までに何十mも必要になるため、使いもしない同軸ケーブルをグルグルを巻いておき、SWRを低く見るという ??な論理がいまだに使われています。

つまりこの同軸を切ってSWRを調整するのと同じで、長い同軸をわざとつかって低い指示値の部分に無線機を持ってくるという方法です。無線機にとっては低いSWRになりますので、とてもよい方法なのですが同調も取れていないアンテナで送信してしまうのは電波の飛びに影響しますし、なにより同軸ケーブルは、電波を運ぶ線路であってマッチング回路の一部ではありません。

 

 

アンテナを測定する場合は、SWRは根元で測定する

同軸がつながったらそれは、アンテナの真のSWRではない

これさえ理解できれば、こんな恥ずかしいアンテナシステムを

声高々に無線で話すことはなくなるでしょう。

 

 

 

 


ではまったくムダ論理なの?

 

ここまで話を進めてきて、 この同軸の長さの調整はまったく無駄な トンデモ論理なのか? というとそうでもないのです。

というのも、アンテナのSWRを測定するために、常時アンテナの根元にSWR計を設置できる人は少ないと思います。

理想状態では何mでも問題がない同軸ケーブルですが、実際は僅かでも反射があり その結果長い同軸ケーブルの中では、SWRが高いところと低い場所が存在してしまいます。

我々が知りたいのはアンテナの真のSWRなのですから、電気的波長1/2λごとに同一SWR点が現れるので、1/2λの整数倍にしておけば、アンテナのSWRが無線機直後でも読めることになります。そのため、無線機の近くでアンテナのSWRを測定したのと近いデータが得られるのです。

 

 

11mではこの波の高いところ低いところが、3.625m/7.25m/10.875m/15.505m/14.5m

にでます。

 

 

注意!

27.300MHZで計算した場合。同軸ケーブルは3.625m の整数倍でカットして使用するとアンテナの根元と同じSWR指示が得られることことになります。


 

 

同軸輻射

同軸はあくまでも線路であってそれそのものからは電波がでるものではありません。逆にいえば同軸から電波がでてしまう状況というのは本来あってはならないものなのです。例えばSWRが高くアンテナから多数の電波が戻ってくるような場合、電波が戻る過程で同軸のシールド側に電波がのり、そこがアンテナとして電波を撒き散らすということにもなります、そのためアンテナはよく調整されたものが必要になります。 しかし、これはあくまでも理想論であり、どんなによく調整されたアンテナでも かならず反射は現れます。

これが問題になり、TVIなどの原因にもなります。この反射してしまう電波もしくは何らかの原因で反射してしまう電波を通らないようにするためフィルタなどの2次加工をします。

これがコモンモードによる対策になるのですが、詳しくは後ほど紹介します。


波長の計算

例えば中心中心を27.300MHzにすると、(300÷27.300=)10.989mになりますが、これは、空間に飛んでいるときの波長で、「物理的波長」といいます。

しかし、電波は同軸などの金属中に流れると、移動する速度が遅くなります、この遅くなる率を「短縮率」といい、 「物理的波長」に「短縮率」をかけたものが=「電気長」になります。

5D-2Vなどの同軸ケーブルは 68%(0.68)が係数として代表的です。FB系ケーブルは0.8くらいになる場合が多いようです。

27.300MHzの場合 波長 10.989×0.66=7.25mが電気長ということになります。波長を表す時には、物理的波長と電気的波長を区別する必要があります。  

 

 

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