無線における傍受と盗聴の違い

各種メディアにおいて、無線を傍受することを盗聴と表現をし、あたかもその行為が犯罪であるか?のような報道の仕方をすることが見受けられます。このような報道をする局の制作をする人のほとんどは、無線に関してはシロウトであり、無線の本来の特性を知らずに番組を作っっていると思われます。

はたしてコードレスホンの受信行為は盗聴なのでしょうか?

報道される例を見ているとコードレスホンなどの高周波利用をする電話を広帯域受信機で傍受することを”盗聴”(盗み聞き)であると決め付ける例が多いようです。

コードレステレホンは380MHzを使用する無線機であり、FMで通信を行っているため周波数さえあわせれば、カンタンに通話を傍受することができてしまいます。

一般の電話利用者から見れば、「自分の大切な電話が他人に聞かれてしまう」つまり盗み聞きに違いないという判断をすることになっていると思われます。

この判断には電波の知識のない人にとっては、正論であり、。特にコードレステレホンは一般の電話と接続して使用することから、一般の有線電話レベルの秘匿性が保たれるという誤解が生じてしまうため、盗聴されているという感情が芽生えるのはしかたのないことでしょう。 しかし、電波の本質は違います。

 

電波伝搬と通信

電波の基本は、無指向性で、”電波を発射した地点から360度の範囲に対して球状態に広がる”もので、"受信する地点を固定することはできない"という特性があります。東京タワーから発射されたテレビ電波は、タワーを中心として広がり、その結果どの位置でもテレビを受信することができますが、受信する地点を選ぶことはできないといえば分かるでしょう。

このように送信点を中心に電波が広がるおかげで、コードレスホンの子機は自室だけではなく、トイレや風呂場、庭先など、自由自在な場所で電話ができるということなのです。つまり、無線の伝搬をうまく利用しているということですね。この電波の特性を考えれば、コードレスホンが380MHzの電波を使用する限り、自分以外の他人の場所に電波が飛んで行ってしまうことはあたりまえのことなのです。

電波を使うという行為が理解できていない”ということに尽きるのですが、電波に関して理解できない人に対していきなり電波法の問題や電気理論の話をしても決して受け入れられるものではないし、また、それを説明で理解させるのは、至難のワザということになります。

電波は、誰の所有物でもなく、公共のものなので、本来誰がいつどのように使用してもかまわないものなのです。ただ、無秩序に電波を出すと、混信などの問題が生じるため、電波を発信する局には、相応の無線知識がある無線従事者の免許が必要になり、周波数の割り当てをして、無線の統制を図っていいます。380MHzの電波を使用するコードレスホンも例外ではなく、電波法による割り当てのあったものであり、それは電波法の法律下にあるものなのです。

 周波数さえ合わせれば受信されてしまうということがが電波の基本であるということが分かれば、こんどは、電波において行われる通信という内容に触れなければなりません。

 

これまでの無線通信というものは、免許制度に基づき、それなりの資格をもった人間が従事してきたわけですが、1990年代に通信の自由化が行われ、一般の有線の通信をそのまま電波に乗せて利用するという形態が目立ってきました。これが携帯電話であり、コードレスホンなどの手軽な通信手段なのです。

電波の知識をもたない人達が便利な電話として利用しているものは、実は、無線機であり、無線機である以上、電波の基本ともいえる同報性などの特性をもっているということが理解できずにいます。

無線を使用する限り第3者が傍受する可能性が否定できないということは、電話会社では常識であり、説明書のしたに非常に小さな文字で、「傍受されることがある」という意味合いの文章がくつついていますが、そんなことすらも理解できずに、携帯電話、コードレス電話というように電話という言葉がついているだけで、有線と同じ程度の秘匿性が得られると思ってしまっているだけなのです。

最近になり、このように電波の本質を無視し、携帯電話やコードレスホンの通話を既得権のように振舞う人も多くなりました。あくまでの電波を利用するわけですから、電波法にのっとった運用の上に、通信が行われているということを忘れてはいけません。

通信の秘密を確保するには?

 電波法では、無線の受信に関しては制限はありません。NHKだって、警察無線だって、PHSだってそれを受信することについては罰則がありません。受信に関する条文は、電波法59条の「受信した内容を他人に漏らしたり窃要すると50万円以下の罰金に処する」という罰則規定があるだけで受信を規制しているものではないのです。

通信の秘密

電波は送信点を中心に広域に広がるため、意図しない第3者に受信されてしまうことがあります。これを防ぐには、受信を規制するという方法ではなく、送信側での工夫が必要になります。衛星放送におけるスクランブル放送や、警察無線のような秘話加工。また、暗号による通話など。送信側での通話ガードのように送信側でのガードが必要になるのです。

無線を傍受するということは、まったくの合法行為であり、それを利用(窃用)したときに初めて犯罪行為となる。しかし、コードレスホンなどを傍受される側とすれば、それはおもしろくない事実であることは間違いいでしょう。

いかに「街中の大声」「となりの公衆電話の会話」「聞こえる世間話」という具体例を出しても、決して納得するものではありません。もしそのような言動を見かけたら、それは電波という媒体を使用して通信を行うことに関しての認識がない人となりますので、決して怒ることなく粘り強く説得するか放置をしておくのが1番です。

盗聴行為とは?

盗聴というのは盗聴器などを自らが仕掛けて、意図をもって受信する行為を盗聴といいます。一般に売られている盗聴器というのは、単にワイヤレスマイクであり、それをわざわざ盗聴器という名前にして、

あやしげにすることにより、盗聴行為にしているだけです。同じ盗聴器でも、健全な使い方をすれば、それは、盗聴とはいいませんよね。

つまり、行う目的の名前が盗聴というのです。受信する本人が盗聴を目的にすれば、その行為は盗聴であり、盗聴を目的にしなければ、それは、傍受なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system