マルドル GP-VII
東京すわん 202210/06 みなさん こんなことを聞いたことはありませんか? GP-V2を使うとTVIが出て 捕まる・・・ GP-V2を使うと電管がやって来る・・・ まあ見た目があんなインパクトのある アンテナですから、建てた状態でみれば 11mに電波を出しているというくらい丸分かりなアンテナでから、電管が来るという前に誰かに密告されてるんだとは思います ではGP-V2を使うとTVIが出るという方はどうでしょう? それまでマルドルの1/4のGPを使っていた人がGP-V2に交換したとたん TVIが出るようになった。。。こんな話です。 今回はGP-V2のうわさを検証してみます。 |
■GP-V2というアンテナ GP-V2はどんなアンテナだったか? GP-V2は長さが5m程ある1/2λのGPで 緩やかにカーブしたラジアルが ついています。 ここに50Ωのアンテナで給電することから波長1/2λのグランドプレーンアンテナであると推測できます。 SWRの調整はエレメントの長さで調整をします。 帯域はとてもブロードで15ch(27.135MHz)でSWRを合わせておくと23ch無線機の場合ほぼSWRは1.5以下 40chの無線機を利用しても全chを利用することができます。 1/2λの長さを持つアンテナに給電する場合は、 根元にマッチング回路を入れて、アンテナと同軸インピーダンスを合わせなくてはなりません。 根元にマッチング回路が入るためにラジアルが不要(→になるわけではない) にすることが多く 俗にノンラジアルアンテナ とも呼ばれています VHFやUHFのハンディ装置ではお馴染みですね、 実際にGP-V2の給電部を見てみましょう。 |
GP-V2の給電部にはコイルとコンデンサが入っているのが確認できます 回路はπマッチ+短縮コイルとも見えますし、同調回路に入力抵抗調整にも見えます アンテナの根元にアンテナカップラが入っているといえばわかりやすいかもしれません。 GP-V2はカーブしたラジアル状のようなものがついています。このラジアルはどういう役割をしているのでしょうか? GP-V2は 垂直系アンテナですが、これを横にして考えてみましょう エレメントは27MHZの1/2の長さで約5mあります。これに根元にマッチング回路を入れて給電するにはどうしたらいいかも考えます ■曲線ラジアルは飾りか? 容量輪か? |
図の右側半分は電波となっていく部(ラジエター)分です不平衡の同軸で給電する場合は左側は(アースなので電界は生じないはずです。 しかし実際は、図の左側(アース側)にも 輻射が発生します 1/4λのアンテナであれば、このアース側のラジアルとラジエターの角度でインピーダンスが決まってしまいますが、 1/2mのアンテナではこの小さいラジアルで代用できるのでしょうか? 例えばGP-V2に 27MNHzの1/4λ(2.75m)の長さのラジアルがあるならGNDとして利用できるかもしれませんが、 27MHzの波長11mに対して50cm程度の曲線ラジアルは大きな役割はなさそうです。 残念ですが、このラジアルはラジアルとして作動しているものではなさそうです。 では存在するはずのGNDにいって(乗ってしまう?)しまう部分はどこに行ってしまうのでしょうか? |
GP-V2を利用する場合は、金属のマストをつけてアンテナを設置するわけで、 そのポールがアンテナの反対側に出来るなにかを吸収して安定して送信できるようにしていると考えるのが妥当です。 つまり アンテナのアース側(マスト)にも電波が乗っているのではないか? という疑問が出てきます |
■GPV-2はGND側にも電波が乗ります
GPV2は根元でマッチングをとっているとはいえ、ラジアルがないために完全にはマッチングは取れず、若干の電波は、すべてマッチング回路で入るわけではなくGND側に乗ってしまいます。
GND側にはマストついていますので、このマストにも電波が乗り、電波が放射されていることになります。
例えばGNDのマストが27MHZに対して十分に長い(=2.7m)あれば放射電力とになりますが、それ以下になると、
行き場を失った電波は同軸の外皮にのって室内方向へ戻ってきます、
この戻ってくる電波をコモンモード(同相電波)などと言います。
27MHZの波長は11mなので、その1/4以上の物体があれば吸収されてしまうはずです。
27MHzにおけるGP-V2の設置状況を考えると、たくさんの設置例があります
設置状態により、TVIが発生しやすい場合と
発生しにくい状態があることがわかります
1番まずい状態は
木造家屋で GP-V2を 木造物干しなどに固定しまった場合です。すると、アンテナから放射できなかった(コモンモードとして乗ってしまった)アンテナは、同軸のシールド側にのってきてしまい、屋内へと入ってきてしまいます。
当然テレビの近くなども通過し それがTVIへとつながります
これではアナログテレビなどひとたまりもありません。
次にヤバイのは、アンテナを屋根馬などで、設置し なおかつ マストを1本(1.8m)程度利用している状態です
アンテナから発生した電波は、マストに乗りますが 乗り切れない分は、これも同軸方向へ乗ってしまい、
屋内方向へと入ってきてしまいます
これらが GP-V2を使うとTVIが)出るという迷言の始まりです。
逆に言えば大丈夫なパターンというのも存在します。
鉄筋の建物の屋上などにマストを接続せずに欄干などに直接接地した場合建物自体が大きなGNDになるためGNDの電波の影響はきわめて少ないです
同様に GP-V2を地面近くにポールに打ち込んで設置した場合や
金属のステーでマストを固定した場合も同じです。
GND側がしっかりするので、TVIの出現は少ないでしょう。
どちらの場合もGND側に回る電波の管理ができてないので、発生したTVIといえます
GP-V2は5mの長さを持った1/2のアンテナで輻射のすべては、ラジエターから行われますので、GND側はしっかりとした接地が行われるべきです。 根元にマッチング回路が入っているので見かけのSWRは低いですが、GND側が弱いということになります。
このアンテナ空送信電波と同じ方向の電波が乗って戻ってくることを
コモンモード障害などといってここ20年ほど前から注目されてきました。
SWRのように負荷から反射されてくる電流はシャック内には戻したくはありません。
そこで登場するのがコモンモードへの対策です。
アンテナからコモンモードとして戻ってくる電波は
同じ位相の電波なので、ここにトロイダルコアなどの、コアを噛ませることにより
同位電流を打ち消してしまうおうというアイディアです。
なるほど同じ位相でつければなくなる・・良いアイディアですね。
しかし、よく考えてみてください。
実際の送信電波には影響はないのでしょうか?
アンテナの線路である同軸へコアを通すということは、
小容量のインダクタを取り付ける行為と一緒です。
そしてそのインダクタが結合してコモンモードを打ち消すということですが、
27MHzの電波にとっては同軸線路の直列抵抗の発生と同軸性能の劣化を引き起こします
同軸ケーブルは内部の絶縁体均一にはさむことによって
インピーダンス保障がされた電波の通路です。
ここに
コアをはさむということは、障害物を設置することと同じです、
また、コモンモードとして電波が戻ってくるのは、同軸より
マストが多いはずです。
それなのに同軸ばかりに対策をしてもまあ無意味でしょう。
簡単だからとアンテナの同軸に何十個もコアをかましてしまい
「コモンモード対策だぁ」としている人もいますが、
無駄かと思われます。
また コモンモード対策をしたらノイズが減ったとよろこぶ人がいますが、
アンテナ回路に抵抗入れちゃえばノイズも減るというものです。
2021年東京すわん