SA-2800局部発振基板違いバージョン          2009/10/21

 

 

そもそもは1台の修理から始まりました

 

SA-2800

局部発振別添えバージョン

「すわんさん。SAで局発基板がでっかいのありますよね?あれって分周比違いますよね?? そいう質問がありました。

実は大きい局発基板のSAは過去にちょっとみただけで 中身がどうなっているか分かりませんでした。

先日 -5KHzが出来ないというSAを預かったんですが、このSA なんと局発がでかいバージョンでした。

ちょっとばかりレポしておきます。修理は-5KHzランプが点灯しないというもので、そのほかの機能は正常っぽいです。最初はー5KHzのラッチ用の回路が壊れているものかとおもいましたところが、こいつったらとんでもないものだったのです。

 

最初からありゃーっつ!

無線機のフタを開けると、緑色のラッピングワイヤで、補修されています これ私の持っているSAと同じ修復方法ですね。同じ人が修復したとと思われます。器用な人かもしれません。

この修復方法は、いわば対処療法ですね。本来接触不良になってしまう可能性のある部分をジャンプしてあります。

まあ、取る必要もないので、そのままにしてあります。

 


大きな局発基板

 

まずこの基板には18.883MHzyと18.433MHzの水晶が乗っています。みたところ、もうひとつ分の水晶発振回路が存在し、3つの周波数を作り出せるようになっています。

なんでこんな周波数にしたのでしょうか。周波数テーブルを作らないとなぜこんな周波数になったのかどうかが分かります。

 

 

PLL基板

PLL基板を見てみると、部品がかなり実装されてないことが分かります。

SA-28のPLLは基準発振の10MHzを2逓倍して20MHzを作り、それをミックスしてPLLへ戻すのですが、このSAは20MHzの逓倍回路がありません。またクライフィライアのバリキャップの回路もPLL基板には装着されていません。

 PLLブロックからこの2ブロック分の回路が装着されていないのです

 

ついている水晶から計算すると、 18.433MHzの3KHZはSSB分のシフトとして、

18.435MHzが局部発振周波数で 26.965MHzを出すときには19.165MHzと違いありません。 これらを図にすると下のようになります


今回局発基板の図:M58476-12P

チャンネル 必要な周波数 中間周波数 PLL差分周波数 54767から出る 分周比 実際の分周比
1ch 26.965MHz 19.165MHz 730KHz▽  9  73
2ch 26.975MHz 19.175MHz 740KHz▽ 10 74
3ch 26.985MHz 19.185MHz 750KHz▽ 11 75
off 29.995MHz 19.195MHz 760KHz▽ 12 76
4ch 27.005MHz 19.205MHz 770KHz▽ 13 77
           

普通のSAの周波数 M58476-22P

チャンネル 必要な周波数 中間周波数 PLL差分周波数 54767から出る 分周比 実際の分周比
1ch 26.965MHz 19.165MHz 835KHz▲ 40 167
2ch 26.975MHz 19.175MHz 825KHz▲ 39 165
3ch 26.985MHz 19.185MHz 815KHz▲ 38 163
off 29.995MHz 19.195MHz 805KHz▲ 37 161
4ch 27.005MHz 19.205MHz 795KHz▲ 36 159
           

▲クリックで拡大

分周方法が中間周波に対して逆だ・・・

なるほど、分周比が異なり、ますので、ICの相互利用はできないですね。


分周比

さてこの大きな局部発振基板には3回路分の発振回路を乗せられるようになっていますそれはまず平ch(1ch−40ch) それに2階(41−80ch)をカバーさせますしかしなぜこのような元からある回路を変更してまで改造する必要があったのでしょうか?それはチャンネル拡張と大きな関係があると思います  SA−2800が世の中に出た時期は爆発的なCBブーム チャンネルなど増やし放題でした.SAでも例外ではなく2階チャンネルを増やしたのですが。このまま3階 4階と周波数が高くなるとなにが起こるでしょうか?たとえば3階を出そうとすると20.900Mhzの局部発振周波数 4階を出そうとすると21.350MHzとなります。  基本波水晶の発振限界になります

 

 

オーバートーンさせて無理やりこれら周波数を合成させる方法がおもいつきますが20.900の1−3である6.966Mhzを発振させると同時に4倍や5倍も発生してしまいます。そのためこれ以上高い周波数に局発をつくりたくないと考えたのでしょう。そのため周波数を逆方向へシフトして、高い周波数へのシフトを考えたのではないでしょうか? 

またもう一つクラリファイアの問題があります

SAのクラリファイアは局発の周波数をバリキャップでずらしてつくっています。 そのため厳密にいうとチャンネルステップまでもがズレしまいます これらを一挙解決したかったために 本体のPLLを改造してまで局部発振回路を交換したかったのかもしれません。

しかし時代は3階を設けるのではなく地下方向への拡張を選びました。そりゃそうです SAの場合3階をつくると28MHzにばっちり入ってしまうことになります

SAでは局発周波数に19.550MHzを入れた 地下基板ユニットをつくり120ch化させることになります

 

 

修理のほう

 さてこのSA−2800のー5kHzができない原因を追いかけることにしました。

症状としてはー5khZのボタンを押してもー5kHzもしないしランプも付かないという症状です

 SA−28のー5KHzはON/OFFのスイッチで切り替えていましたが、SA−2800ではHi−Loのスイッチに使われてしまったために-5KHzのスイッチは、プッシュスイッチに変更され、 押してー5KHzもう一度おしてー5KHzを解除するように変更になっています。そのために機械の内部では 延長基板がつくられF/F(フリップフロップ)が装着されています。さて。この回路をスイッチの部分から追っていきます。

スイッチ回路は正常です。オーナーもここそショートしたにも変わらないといわれていましたので、さらに先へ、それがF/Fに入ると出力がでないのを確認しました。

  これはー5KHzをつくっているF−Fの不良に違いありません。そう思いICチェックもせずに交換をしてみたのですが変化がありません・・ありゃん?  

 

  よく見るー5KHzの配線がPLLユニットの中を通過するときケースこすれて銅線が出ています

あーこれだ! 故障原因確認です

意気揚揚と、配線を絶縁。ところが今度はこの配線を外しても状況は同じです

おかしい・・

 

−5KHzの配線はF−Fから直接分周用のICに入ってます。そこでFFの出口である−5KHzの配線を外してみると −5khZの信号はちゃんと点灯しますし、作動もします。  すると分周用のIC?

いやそれにしては様子がおかしいです。

そこでM58476の分周用の配線を1本ずつ外してみることにしました。

すると出力の10KHzの配線を接続したときのみこの症状が発生します。

  つまりM58476の入力端子は入力回路でありこの端子はどこにもつながってはならないはずなのですが思いっきりGNDとくっついちゃってます・1kΩ程度の抵抗でプルアップしてもGNDのままです

こりゃ完全にダメです

 

ほかのチャンネルなどの機能は正常なのに入力が1本だけダメになっているとはきがつきませんでした

 さて故障原因を確認したんですがM56763の交換部品はありません。どうしたものでしょうか?

 


なければ作るしない!?

 Mー58476

SA−28に使われていたM−58476はカスタムICです。SAがつくられた当時はカスタムICをつくることは画期的なことであると同時に小型化に貢献しましたが SA−28登場から30年 いまではPIC1つで同じ作動をさせることが可能になりました。SAではこのICが壊れてしまったために直せない機械が多くあります

そこで24PINサイズの基板にPICで製作しました

CS クロックCR VCC側の抵抗とGNDへコンデンサ100k 100pがついています。不明

13

GND

 

AC パワーONReset 外部に50V1μのケミコン 14   表示1位  BCD A

 UP チャンネルUP入力VCCにプルアップされGNDになるとチャンネルが1ch分アップされます

15 表示1位  BCD B

DOWN チャンネルDOWN  入力チャンネルが1ch分ダウンします

16 表示1位  BCD C

 周波数ステップ?回路でも実物でもFSになっていますが、浮かせてもなにもおこりません。

17 表示1位  BCD D

STOP NC回路図ではNCになっていますが常時5Vにつながっています。

18 表示10位 BCD C

TX/RX Hでch9 GNDでノーマルです。浮かせるとCH9になります。SAでは、パターンで直接GNDへ固定されています

19 表示10位 BCD B
D0  PLL 1 20 表示10位 BCD A
D1  PLL 2 21 D7  PLL128 
10 D2  PLL 4 22 D6  PLL64     
11 D3  PLL 8 23 D5  PLL32
12 VDD 電源(常時)+5V         24 D4  PLL16

ICの機能はチャンネルのUPとDOWNの信号をつかまえて カウントをするというものとそれに見合ったPLLへのBCDコードを発生させるという役割をしています。当時はこの機能を24PinのDIPサイズに書き込むのが精いっぱいだったのでしょう

今やこのへんの処理はローエンドPICで十分にプログラムができます

しかし、問題もありますM 58476から出力される信号は14本 入力は4本必要になります。IOの数が最低18本必要になります。PICを見ると20ピンのICで18IOというICが最大でそれ以上になると28ピンのICで22IOに増えてしまいます。 なので今回は20IOが利用できる16F873Aをえらびました  


部品配置

PIcには電源のみを配置します

本来ならば RAのポートには10位表示RBには1位表示RCにはバイナリーというように分割させたいのですが 配線をする場所もありません

そのため各ポートの利用状況はバラバラであり  プログラムをつくるときに注意すればどうにかなります

 

 

 

スペシャル機能

「せっかくなんだから、チャンネル増設とかそういうのやれば・・・」というような悪魔のささやきです。

たとえば分周比の増設でチャンネル増設なども可能です。、(10位は3ビットしかないので、7以上の数字が出ない)しかし、このように増設されたICをSA−2800などの80ch無線機に入れたとすると、HI−chに切り替えたときに、チャンネルが重複して無駄になりますし、そもそもPLLのロック範囲を超えてしまう可能性もあります  そのためのあえてMAX40chになっています・ただし26.995MhZや27.045MHzなどの

中間チャンネルは利用することが多いと判断し  以下のような順番で発生します

  1→2→3→4→4(26.995MHz)→5→・・8→9→9(27.045MHz)→10

  間チャンネルでは表示はそのままで周波数だけ10khZカウントアップします

スキャン時も同一です。  電源ON直後は1ch(0ch)が表示されます。

チャンネルバックアップ機能

SA28では、M58647の部分にのみ、バックアップ回路があり、電源を接続している限りチャンネルデーターをバックアップするようになっています。このバックアップはいろいろ曲者で、車のセルモーターを回したときなセルフリセットし、01chに戻ってしまうということが起こります。実はこれはPICでも発生します。リセット直後は1chになるようにしてあります。   


これらを変換基板をつくり24ピンのサイズにまとめたものがこちら!小型の基板にPICを乗せた感じです。

 

 

 

チェック 分周費などを確認して完全互換が可能です。

おみやげ

SA−28の延命にお使いください  

普通のSA用のHEXファイル(16F873A用) SEB1.HEX

大きい局発基板用のHEXファイル(16F873A用) SEB2.HEX

 

2010-10-21

 

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